2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物に対するホウ素の毒性-生育障害の発生機構と進化における役割
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15J11021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
反田 直之 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 非生物ストレス / ストレス耐性 / ホウ素 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、過剰量のホウ素が植物の生育を阻害する仕組みの解明と、その毒性が進化に与える影響の評価を行った。 ホウ素の毒性機構の解明については、前年度に遺伝子マッピングにより候補遺伝子領域を限定したホウ素過剰感受性シロイヌナズナ変異株の抑圧変異株に対して、原因遺伝子の確定を行った。具体的には候補領域内にあったNAC型転写因子に着目し、この遺伝子を欠損する変異株の取得を行った。もとのホウ素過剰感受性変異株との2重変異株を作成し、ホウ素過剰ストレス下における表現型を観察すると、抑圧変異株と同様にホウ素過剰ストレス感受性が抑圧されていることが確認された。このことから、このNAC型転写因子の欠損がホウ素過剰ストレス感受性を抑圧することが示された。また、前年度に活性酸素産種生酵素の一種を欠損した変異株がホウ素過剰ストレスに耐性を示すことを見出していたが、さらなる解析により、この変異株ではホウ素過剰ストレス下における酸化ストレスの蓄積が軽減していることを発見した。 ホウ素毒性が進化に与える影響の評価については、栄養環境がゲノムの安定性に影響することで植物の進化の速度や方向性を変える可能性を引き続き検証した。これまでにシロイヌナズナの野生型、ホウ素過剰ストレス感受性変異株について通常区、ホウ素過剰区において栽培し、自殖による継代によって自然変異を8世代にわたり蓄積させた。最終世代の植物に対して、通常区、ホウ素過剰区それぞれについて追加で3個体のゲノム配列決定を行った。検出された変異をもとに自然変異発生率に栄養環境が与える影響の評価を行ったが、統計的に有意な差は見いだされなかった。しかしながら、最終世代の生育調査の結果、ホウ素過剰状条件で継代した群はホウ素過剰条件下における根の生育が良いことが明らかになった。これは、ホウ素過剰ストレスによる、世代を超えた耐性獲得機構の存在を示唆している。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Mechanisms of excess boron toxicity on root growth2016
Author(s)
Naoyuki Sotta, Takuya Sakamoto, Takehiro Kamiya, Shinichiro Sawa, Ryo Tabata, Masashi Yamada, Mitsuyasu Hasebe, Shuji Shigenobu, Katsushi Yamaguchi, Masami Yokota Hirai, Toru Fujiwara
Organizer
The 27th International Conference on Arabidopsis Research
Place of Presentation
HICO(韓国 慶州)
Year and Date
2016-06-29 – 2016-07-03
Int'l Joint Research