2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J11183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 いず海 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ランダムウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は今年度主に確率解析の手法を用いて、多次元のブラウン運動の離散対応物の単純ランダムウォークの局所時間の性質について単独で研究を進めてきた。局所時間とはその確率過程のある領域またはある点への訪問回数のことを指しており、様々な分野に応用性を持っている確率変数である。これをふまえ、今年度は2次元整数格子上の単純ランダムウォークの favorite point (単純ランダムウォークの局所時間が他点と比べて大きい点)や late point (単純ランダムウォークの到達時刻が遅い点)という特異点について研究を進めた。この背景として、申請者はこれまでの2次元の単純ランダムウォークの研究踏まえて、これらの point の長時間挙動に関して2次元特有の何らかの特徴があることが期待でき、特に(線形)ホットスポット問題との対応に興味をもち、これらの特異点の幾何学的構造を考察した。 具体的な研究成果として、「2次元の適当な大きさの小円板内の favorite point で、距離が一定のオーダーにある2点の組の個数の増大度の漸近的なべき指数」が、対応する late point の指数と一致するということを示した。この指数は複雑な値であるにも関わらず、 high point(ガウス自由場の値が他点と比べて大きい点) の対応する指数と同じ値であることに注意すると、2種の特異点の類似性を3種に拡張したことになる。更に同様の問題の任意の整数個の点の場合への拡張に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元以上の単純ランダムウォークの favorite point の幾何的構造の解明のため、訪問点集合の境界点中での favorite point の訪問回数について大数の法則に相当する極限定理を導いた。さらに、favorite point の多点の相関関係を得る足がかりとして、申請者は2点間の相関関係の指標を表現する先行結果で予想された未解決問題を肯定的に解決した。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元整数格子でのガウス自由場と単純ランダムウォークの局所時間の関係性を考察する。そのため、ガウス自由場の極限定理に関し重要な評価である「 非有界な整数格子上のガウス自由場の特異点の個数の高次モーメント」を評価する。
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Research Products
(7 results)