2015 Fiscal Year Annual Research Report
オキシトシンが被虐待経験がある児童の社会性に与える影響
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15J11659
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小泉 径子 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 社会的認知 / 他者理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、被虐待経験のある児童の社会的認知能力、特に見知らぬ他者の利他性を検知する能力が、虐待を受けたことのない子どもと比較してどのような特徴を示すかを明らかにし、またオキシトシンの単回投与が改善効果をもたらすかどうかを検討することを目的としている。また、社会認知能力に於いて、被虐待経験のある子どもと類似した困難を示すと言われる自閉スペクトラム症のある子どもとも比較を行い、それぞれの特徴を明らかにすることも目的としている。 平成27年度は、10~17歳の被虐待経験のない定型発達の子どもを対象として、オキシトシンもしくはプラセボを単回投与した上で他者の利他性検知課題、魅力度評価課題を行い、見知らぬ他者の利他性の判断および見知らぬ他者の魅力度評価に及ぼす影響について検討を行った。これらの結果について、平成28年度9月にカナダで行われた国際学会The 22nd International Association for Child and Adolescent Psychiatry and Allied Professions World Congress 及び、10月に岡山県で行われた第57回日本児童青年精神医学会総会に演題投稿を行った。 また、被虐待経験のある子どもの社会的認知能力に対する予備的な検討として、表情理解能力についての検討を行った。第56回日本児童青年精神医学会総会にて「虐待環境からの隔離によるネガティブ表情読み取り能力の変化」という題目にて口頭発表を行い、この内容について英語論文を執筆、投稿を行った。現在再投稿に向け改稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
繰越の手続きを行い、約半年間の延長を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験は平成29年度の初頭までに終了させ、その後解析、論文執筆作業に入り、29年度末までの論文受理を目標とする。 再投稿作業中の被虐待経験のある子どもの表情理解についての論文は、平成29年夏頃の受理を目指す。
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