2017 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素による分子性超ルイス酸および新規低配位化学種の開発
Project/Area Number |
15J11698
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 直樹 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ホウ素 / ホウ素カチオン / ジボラン(4) / 二重蛍光発光 / ドーパント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ホウ素上にアリール基のみが置換した2配位ホウ素カチオン(ボリニウムイオン)を基盤分子として、新規物質変化反応の開拓を目的に研究を推進した。 1. テトラメシチルジボラン(4)の合成と発光挙動の評価; ボリニウムイオンの還元的ホウ素ーホウ素結合形成反応によって得られる、空気や水に安定なテトラメシチルジボラン(4)の合成とその特異な発光挙動について評価した。溶液および固体状態においてジボランが二重蛍光発光を示すことを明らかにし、その二重蛍光が、ジボランのわずかなコンフォメーション変化に基づくことを理論計算により考察した。溶液状態における二重蛍光の強度比は、溶媒の粘度や温度の変化に応じて敏感に変化し、それら発光は、溶媒の極性に依存しないことが明らかになった。また、固体状態では、光や熱といった外部刺激によって、二重蛍光発光の強度比を可逆に変化させることが可能であった。これらの成果は、環境応答分子の設計戦略に新たな知見をもたらすものと考えられる。 2. 有機半導体材料に対するボリニウムイオンによるドーピング効果の検討; フンボルト大学ベルリン校のNorbert Koch教授のグループに2カ月滞在し、有機半導体材料を対象としたボリニウムイオンによるドーピング実験を行った。ボリニウムイオンは、高いホールドーパントとして作用するだけでなく、得られた有機半導体が、大気下においても化学的、熱的に高い安定性を示すことが明らかになった。これら結果は、ボリニウムイオンが既存のドーパントに比べ、有用なドーパントと成り得ると考えられる。以上、ボリニウムイオンの反応性を明らかにし、これまで未開拓であった2配位ホウ素カチオン化学の新領域を切り拓いた。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)