2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J12300
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
宮田 まり子 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 積み木 / 3歳児 / 保育者 / 遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,研究課題の中でもとりわけ保育者に着目し,研究を論文化して発表した。日本の多くの幼稚園や保育所では,活動間の移行時に一人ひとりのその日の様子に応じた援助がなされ,幼児の意思を尊重する自由な遊び場とゆとりある時間設定がなされている。とはいえ,幼児の行為のほとんどは,保育者が設定した環境によって導かれた結果である。多くの幼稚園や保育所には,幼児が選択できる多くの物的環境が用意されてはいるが,幼児の特性からも,保育者の援助という人的環境による意図的な導きを無くして選択されることは少ない。よって保育者に関する分析は本研究課題の究明に欠かせない。本研究では,幼稚園3歳児の積み木場面を支える保育者の関わりについて,保育者の発話と行為に着目して分析した。分析の結果,保育者による子どものイメージ発話の再生や子どもの操作に同調した保育者の動きが確認できた。また,積み上げの継続の有無と保育者の発話内容とに因果関係はみられなかった。しかし保育者の「否定的・教示的応答」発話の比率により,保育者が参加する積み木場面には①子どもから発現されたイメージを膨らませて展開していく場合②より複雑な積み木の構築を目指して展開される場合の2つの場合があることが明らかになった。積み木は幼児にとって変化の少ない単純な物であり,それ単体が持つ刺激は小さいという性質を持つ一方で,積み木自体が持っている刺激が小さいからこそ,その物を媒介にした保育者と子ども,子どもと子どもの関係性が重要であり,発話や身体的な動きの発現を必要としていた。また3歳児については,保育者による受容的な環境設定が必要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究課題としていた保育者に着目した研究について,分析し論文化することができた。加えて次年度に引き続き,幼稚園において参与観察を行ない,必要なデータを採取することができた。また,我が国の保育内容と保育教材に関する文献を収集し,歴史的変遷について概要をまとめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの観察記録から見えてきた3歳児積み木場面の様相について、変容の要因をより明らかにしていくことが今後の課題である。①我が国の積み木を含む保育教材②我が国における保育内容に関する歴史について,文献を収集し,その変遷と背景的思想について明らかにすると共に,3歳児の固有性に言及すべく他学年との比較も視野に入れたデータの分析を行なっていきたい。
|
Research Products
(5 results)