2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00054
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
酒折 文武 中央大学, 理工学部, 准教授 (90386475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 和範 立教大学, 経営学部, 教授 (60230348)
渡辺 美智子 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 教授 (50150397)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スポーツ統計科学 / トラッキングデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は,年頭の計画通り,サッカーのトラッキングデータ,野球の PITCHf/x によるトラッキングデータ,野球やサッカーに関する行動履歴データに関して,統計モデル開発と実証分析に取り組んだ。 サッカーについては,トラッキングデータと行動履歴データの2つのデータセットを結合し,2つのデータセットの時刻のずれによる不正確性も考慮に入れながら,選手間やボールの位置関係やアクションなどを用いて現在起きているプレイ状況を自動検出するアルゴリズムの開発に取り組んだ。より具体的には,トラッキングデータから,選手やボールの位置などに関係する変数を,時間的な幅をもたせて算出し,ランダムフォレストやスパースモデリングによって,その時点で一部の守備戦術プレイが生起しているかを自動検出するアルゴリズムを検討した。途中経過を,9月の研究集会ならびに12月のシンポジウムで発表した。 野球については,投手のリリースポイントの座標やばらつき(肘への負担を考慮),速球の球速やボールの回転数などトラッキングデータから測定できる項目に加えて,登板間隔や1試合の投球数なども含め,投手の肘の故障に影響を与える要因についての実証分析に取り組んだ。ここまでに得られた結果を論文投稿し、採択された。 本科研費の共催イベントとして,9月の統計関連学会連合大会内での企画セッション,6月,12月,3月のシンポジウムを開催し,上記内容を含む講演や議論の他,スポーツ統計科学に関わる多くの研究者およびスポーツ現場や業界に携わる実務家との研究交流,意見交換を促進した。また,スポーツデータ解析コンペティション開催への協力を行い,研究者や大学院生,大学生,そして中高生へのスポーツ統計の普及啓発にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように,サッカートラッキングデータに関する研究の途中経過を9月と12月に発表することができた。また,野球のトラッキングデータに関する一定の成果を論文投稿し,採択を得ることができた。これらのことからもわかるように,研究は概ね順調に進展している。 ただ,精度の面で改良の余地が残されている。例えば,サッカーにおいては,トラッキングデータと行動履歴データ間で時間や位置にズレが生じており,これが分析結果に与える影響が少なくないとみられる。したがって,さらに様々なアプローチを検討する必要がある。また,実践的に,さらには実用化なども見据え,スポーツ分野の専門家の知見を加えながら研究を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な計画に大きな変更はない。サッカーのトラッキングデータに関する統計モデルの開発については,精度向上と,さらに幅広いプレイの自動検出アルゴリズムの開発を主眼に置きつつ,それを用いた評価指標の作成にも取り組んでいく。また,野球のトラッキングデータについては,前年度に明らかにした故障のリスク要因に関する分析における判別器としての精度の向上のための変数やモデルの検討の他,投球や打撃結果の評価モデルの開発にも取り組む。さらに,映像などの非構造化データを絡めた分析方法について,他のスポーツを含めた可能性を検討する。 研究集会を、6月、9月、12月、3月の4回開催し、研究成果や現場での問題点を共有できる場を提供していく。また、スポーツデータ解析コンペティションの開催に協力し、スポーツ統計の裾野拡大や、スポーツを通した統計学自体の普及啓発にもつとめる。また、スポーツアナリスト数名との研究交流や連携を深めてきており、今後もさらなる情報交換につとめる。
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Causes of Carryover |
2016年度は当初のほぼ予定通りの使用額であったが、2015年度に学内会議で都合が合わずに参加を見送った国際会議の旅費が繰り越され、それが残っている状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度開催される国際会議での成果発表および情報収集に使用予定である。また、9月のシンポジウム(名古屋)においてスポーツ現場関係者を招いて、講演をお願いすることを計画している。その旅費としても使用予定である。
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Research Products
(5 results)