2016 Fiscal Year Research-status Report
超伝導デバイスを用いた論理回路のレイアウト設計手法に関する研究
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15K00075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 一義 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (70273844)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 論理回路 / 設計自動化 / 超伝導単一磁束量子デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導デバイスを用いた単一磁束量子回路による、超高速かつ低消費電力のディジタル回路の研究が進められている。本研究課題は、このデバイス向けの自動 LSI レイアウト設計手法を開発するものである。パルス論理による動作など半導体とは異なる特徴を持つため、回路の動作タイミングなどを考慮した専用の設計手法が必要となる。自動セル配置、等長・指定長配線などの問題を定式化し、設計アルゴリズムを開発し、ツール化して実際の回路に適用して評価を行う。平成28年度は以下の項目を実施した。(1),(3),(4) は他研究課題との共同研究による。 (1) これまでの単一磁束量子回路向け設計ツールに関する研究成果をとりまとめ、公表した。 (2) 単一磁束量子回路の設計における半導体用ツールの利用法を検討した。レイアウト設計で実際に使用されているツールは必ずしも現在の単一磁束量子回路デバイスに適しておらず、特にデバイス技術の進展が見込まれる配線設計においては、複数の配線層に対応した新しい設計フローが必要なことを確認した。 (3) 詳細レイアウト設計により動作タイミングが定まる以前に回路の動作検証を可能とするための、ゲートレベル記述およびシミュレーション方式を開発した。単一磁束量子回路は各論理ゲートがクロックで駆動されるため、同じ回路図でも信号到着順序により回路動作が異なる。そのため、ゲートの接続関係とともに信号到達順序を明示的に記述する方式を採用した。更に、以前のクロックサイクルにおける信号値を参照する形式を導入し、パイプライン動作の検証を容易にした。 (4) 配線長マッチングを考慮した自動配置手法を開発した。配線遅延は配線の長さに比例するため、レイアウトにおいて配線長を揃えることが必要になる。セルの自動配置の段階で指定配線長を考慮することにより、小面積のレイアウトが得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題の定式化、設計アルゴリズムの開発は順調に進んでおり、初期段階の成果を公表してきた。
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Strategy for Future Research Activity |
既開発のアルゴリズムについて、ツール化および実際の回路を用いた評価の段階へ進める。また、レイアウト設計フロー全体の整理を行う。
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Causes of Carryover |
成果公表および資料整理が年度内で完結しなかったため、旅費および人件費・謝金の実支出が予算より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果公表旅費、および資料整理謝金のため次年度計上分と合わせて使用する。
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