2016 Fiscal Year Research-status Report
フラグによりCPUとアクセラレータが連携するヘテロジニアスマルチコアに関する研究
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15K00085
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 啓二 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50318771)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アクセラレータ / マルチコア / 並列化コンパイラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、各コアがアクセラレータを持つマルチコアにおいて、アクセラレータ、データ転送ユニット、及びCPUコアがフラグ変数を介して非同期に動作し、各部が途切れることなく動作するようなシステムを構築するものである。本研究にはアーキテクチャとソフトウェア(並列化コンパイラ)の両面からの取り組みが重要であり、2016年度も当初研究計画に基づき、これら両面から上記アクセラレータを持つマルチコアの研究を行った。以下により詳細に説明する。 まず、アーキテクチャに関しては前年度に引き続きフラグセット・チェックによる制御可能なアクセラレータとデータ転送ユニットを持つマルチコアのシミュレータを開発した。特に、アクセラレータのパイプラインとメモリ構成に関して、前度開発のモデルに対しより詳細なハードウェアモデルを実装した。さらに、このようなアーキテクチャシミュレーションを用いた評価実験に要する時間を短縮する手法を1件の国際会議論文として発表した。またソフトウェアシミュレーションだけではなく、1コアをFPGA上で実装し評価する環境の構築にも着手した。本評価環境により、より現実的なハードウェアの評価が可能になる。 ソフトウェアに関しては、アクセラレータのコード生成系を2015年度に引き続き開発した。コード生成系はオープンソースのコンパイラインフラストラクチャとして広く用いられているLLVMをベースにしている。さらに、プログラムからタスク抽出を行い適切な位置にフラグセット・チェックのコードを挿入する手法の開発、及びアクセラレータにデータを供給するメモリ管理手法を開発し、これらを実現する自動並列化コンパイラのプロトタイプ・モジュールの開発を実施した。アクセラレータのコード生成に関しては1件の情報処理学会研究会報告として発表し奨励賞を受賞した。またメモリ管理手法に関しては1件の国際会議論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、前述の通り申請書の計画に基づき研究を進めることができた。 アーキテクチャに関してはフラグ変数によりアクセラレータ・CPU・データ転送ユニットの連携が可能なマルチコアのシミュレータを開発した。さらに、昨今のFPGA評価ボードの入手容易性や開発環境の向上を鑑み、当初予定にはなかったFPGAによるアクセラレータ評価環境の構築にも着手した。本評価環境とシミュレータを相補的に利用し様々な評価実験が可能となることが期待できる。 ソフトウェアに関してはLLVMを用いたコード生成系の開発を継続し、国内研究会にてその成果の発表を行った。フラグ変数授受によりアクセラレータやデータ転送ユニットを制御する手法も引き続き開発し、さらにアクセラレータにデータを供給する近接メモリ管理手法の開発を行った。メモリ管理手法は国際会議で発表を行った。これら手法のプロトタイプ機能を自動並列化コンパイラに実装している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は2016年度までに開発した各種ソフトウェア手法及び対象とするアーキテクチャをモデル化したシミュレーションを用いて評価実験を行い、ソフトウェアとアーキテクチャの両面の評価及び改良を行う。さらに、FPGAによる評価環境の開発を進め、動作タイミングやハードウェア実現可能性等に関するより詳細な実験を行う。 以上の評価結果をまとめて論文誌論文や国際会議論文として投稿する。 2017年度の懸念事項としては、研究代表者が年度後半より在外研究に出てしまうことが挙げられる。しかしながら、事前の調整を綿密に行い、さらに在外研究期間中は遠隔会議等による手段を用い、本研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度は当初予定に対して学会発表を行う学生の数が多く、かつ学会参加時期が繁忙期と重複していた。その一方で研究実施に必要とする計算機がこれまで使用しいた機材で十分まかなえることが判明した。以上により若干の予算組み替えを実施し、その結果が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、本字年度使用額を出張旅費あるいは物品費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)