2016 Fiscal Year Research-status Report
広域自己反映計算にもとづく適応的並列計算系の実行時検証とそのための仕様記述方式
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15K00089
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 卓雄 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20222408)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 広域自己反映計算 / 実行時検証 / 関数リアクティブプログラミング / 文脈指向プログラミング / アクターモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き基盤となる個別技術についての研究を遂行した.具体的には,(A)小規模計算機システムのための関数リアクティブプログラミング言語の実現方式,および(B)広域自己反映計算にもとづく分散文脈指向プログラミング方式の検討をそれぞれ行った.それぞれの詳細は以下の通りである. (A) 本研究課題では,広域自己反映計算にもとづく文脈指向的なシステムの動作を実行時検証の対象としており,その典型的な応用として無線センサーアクターネットワーク(WSAN)を挙げている.個々のセンサーノードやアクターノードの動作も実行時検証の対象となるため,それらの動作を形式化する必要がある.典型的なセンサーノードはマイクロコントローラ等で構成される小規模なシステムであり,その上のプログラムはポーリングと状態機械の組み合わせやコールバック(割込みハンドラ等)で構成される.そのためプログラムの記述が分断されてモジュール化への障害となるとともに,形式的な扱いが難しくなる.本研究課題の第2年度の成果の一つとして,我々は小規模組み込みシステム向けの関数リアクティブプログラミング(FRP)言語を設計・実装し,実際にマイクロコントローラ上で評価を行ってその有用性を明らかにした.設計した言語は純粋な関数型言語であり,実行時検証のための動作の形式化を容易におこなることができる見通しを立てることができた. (B)前年度までに行ってきたアクターモデル上の自己反映計算モデルの研究にもとづき,プログラミング言語Elixirによる分散文脈指向計算機構の実装とその評価を行った.具体的には,文脈を管理するノードの階層化機構と,プログラム中で文脈依存の動作記述(レイヤー)を支援する機構を導入することで,文脈依存なふるまいを行うセンサネットワーク等の記述を容易にできることを確認した.これに関する成果は最終年度に発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べているように,基盤となる個別技術についての研究については順調に成果を得ている.これは当初に計画に沿ったものであるため,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,これまでの成果をもとに,具体的な分散計算系をターゲットとして,提案手法の有効性を示す.また,初年度における検討結果をもとに実装したシステムの実行時検証方式を検討する.これにより提案している広域自己反映計算手法が適応的な分散・並行計算系に対する実行時検証の効率向上に寄与することを明らかにしていく. 具体的な対象の一つとして,初年度の発表論文において例題として扱った適応的無線センサーアクターネットワーク(WSAN)を扱う.これについては,現在までに設備備品費で購入したマイクロプロセッサボード上に提案システムの実装と予備的な実験を行っている.
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Causes of Carryover |
WSANを構成する実験にもちいた機材(マイクロプロセッサボード等)について,当初予定していたものより低価格かつ高性能のものが発売されたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より信頼性の高いデータを得られるよう,今後計画している計算機(TSUBAME)の使用料およびWSANによる実験規模のスケールアップに充てる.
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