2016 Fiscal Year Research-status Report
GPU-CPU連成クラスタにおける固気液多相の熱流体計算の高速化と分散可視化
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15K00167
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安藤 英俊 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (50221742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 孝司 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (50313789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GPU / 多相流体シミュレーション / 数値計算 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は前年度に開発された手法を実装しCPUとGPUの連成を効率的に図り,GPUクラスタ全体での効率的な計算手法を検討する計画であった.そのために,28年度に登場するCPUとGPUとを繋ぐ新しい高速インタフェースNVLinkが,安価なGPUでも利用できるようになるのか高価なGPUシステムのみで利用可能になるのかが大きなポイントであった.結局NVLinkは高価なGPUシステムのみで利用可能となり,我々が目指す安価なGPUで構成されるGPUクラスタシステムでは残念ながら使うことができなくなった.そのためCPUとGPUの効率的な連成のためには従来通りGPUのカーネル実行中にCPU側での処理やデータ転送処理を非同期に行うことなどの方法を取ることとした. その上でより複雑な固気液多相流シミュレーションを実現するためには,複数の個体同士の相互干渉を流体の計算としてでなく剛体同士の衝突判定および衝突応答として処理する必要があり,その効果的な実装を検討した.その際に特に多数の剛体間の衝突判定を効果的に行うためには包含立体等を用いた多段階の衝突判定方法が非情に効果的である.これは固体の数をNとした場合に衝突判定の計算量はNの2乗に比例してしまうため,剛体数の増加による衝突判定の計算時間が非常に深刻になる可能性があるためである.GPUでの衝突判定に適した包含立体の選定と衝突判定処理の実装を行った. またサイドバイサイド方式の3DTV上にて立体視の実装と評価を行った.複数の観察者の評価の結果適切な立体感が得られ,複雑な固気液多相流体シミュレーション環境においては空間内の状況を適切に把握するためには非常に有効な手法であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安価なGPU環境ではCPUとGPUの連成のためにNVLinkが利用できないことがわかったが,その部分は従来通りのやり方を踏襲することで問題なく対応できることも確認できた.基本的に計画していた項目については当初の予定通り,あるいは部分的には予定以上の成果を達成した.すでに基本的な部分は正しく稼働しており,さらなる機能追加や計算の高速化と高精度化が可能である.前年度はレベルセット法による距離場を用いて固体と流体の相互干渉のための衝突判定を実現したが,さらにGPU上での固体同士の効率的な衝突判定を実現する手法を考案した.これらは学会で発表予定であり,今後の計算処理の拡張にも大いに役立つことが期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本課題の最終年度となるため,今まで個別に設計・実装してきた手法を組み合わせ,全体的に効率的に固気液多相流環境での熱流体計算と可視化を実現する.そのために必要となる技術はすでに概ね開発されているが,特にGPU上での効率的な固体間の衝突判定処理をまず実現し,国内学会及び国際会議において発表する.さらにすべての技術を実装した上でその効果を実証し,学会論文誌へ投稿する予定である.計算部分は主に鳥山が,可視化部分は主に安藤が担当する.そしてフォトンマッピングを熱の輻射計算および写実的可視化として用い,GPUの強みである計算と可視化を高度に融合して行く.
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