2015 Fiscal Year Research-status Report
分散処理環境における動的最適化制御のための知的ネットワークシステムの研究
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15K00169
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
布目 淳 京都工芸繊維大学, その他部局等, 助教 (60335320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計算機システム / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 分散処理 / 動的負荷分散制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非均質なノードから構成される分散処理環境において、明示的なノード間通信に依存せずに、局所的な情報共有を実現するネットワークシステムを開発するものである。ネットワーク集線装置に対しても一定の情報処理能力を付与し、ネットワークを高度に知的化することで、分散処理環境の動的な最適化に要する情報を低オーバヘッドかつ低遅延で共有できるようにする。これにより、通信路上のトラヒック量が最適化されるため、実効通信性能の向上が期待できる。本研究で提案するネットワークシステムでは、管理情報の交換にかかるオーバヘッドを大幅に軽減できるため、高度な動的最適化手法の進展に繋がる可能性がある。 本年度は、ネットワークノード間で交換する管理情報の詳細、およびその伝送に用いるパケットの構造を決定した。また、分散ストレージシステム上に保存したデータブロックの配置を動的に最適化する目的で、管理情報の交換方式を決定した。ここでは、管理情報を通常のノード間通信で用いるユニキャストフレームにマージすることで、独立したネットワークフレームが生成されないように考慮した。シミュレーションによる評価の結果、大規模な分散処理環境においても管理情報の鮮度を低下させずにトラヒック量を抑制できることを確認した。また、管理情報の交換頻度を高めた場合でも、本来必要となるネットワーク通信を阻害しないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
管理情報の定義および交換方式については研究計画通りに詳細まで検討が進み、一定の性能評価を行えたものの、ネットワークスイッチにおける管理情報の抽出・融合機能に関する設計がやや遅れ気味である。これは、管理情報の交換方式を設計する段階において、ネットワークトラヒックの量を大幅に削減する新たな方式を詳細に評価する必要が生じたためである。ここで得られた知見は、ネットワークスイッチの内部設計に大きな影響を与える可能性があったため、若干の遅れが生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に行った評価結果をもとに、ネットワークスイッチの内部設計を継続して行う。特に、ネットワークフレームからの情報抽出および複数の管理情報を融合した上で、ネットワークフレームにマージする機構を設計する。 また、提案方式の有効性を確認するために、実機による評価環境を構築し、性能評価を行う。ネットワークスイッチ上で動作するソフトウェア部分の検証には、オープンソースUNIXを用いてエミュレートすることで行う。
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Causes of Carryover |
一部の性能評価の実施に遅れが生じており、そのために必要な機材の購入を次年度に遅らせることで、より高性能な機材を導入するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
評価の遅れは速やかに取り戻した上で、評価用の機材を購入する。その他については、次年度の研究計画に従って執行する。
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Research Products
(6 results)