2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary studies of vocal imitation by comparative cognitive approaches
Project/Area Number |
15K00203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
香田 啓貴 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (70418763)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 霊長類発声 / 情動 / 条件づけ / ニホンザル / 発話進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度にあたり,これまでの計画の総括を行うとともに,追加条件についての考察,ならびに,発声と情動との関連と相互作用という視点に基づき,ヒト発話の進化や霊長類発声,コミュニケーション行動のさまざまな派生的展開を見据えた総括年度となった.まず,懸案の音声の情動伝染という観点については,さまざまな形で音声刺激を変化させてその影響を調べた.しかしながら,一貫して条件づけされた発声は直前に聞こえた音の影響を受けにくかった.とりわけ,当初期待した,悲鳴ににた音声など情動的に高まった状態の音声などの伝染効果を検討したが,そのような傾向は認められなかった.そこで,追加実験として,呈示した音刺激に1回の発声を促す訓練実験状況下で,ランダムに2度発声させるような(すなわち1回の発声では強化しない状況試行)試行を,挿入し,発声の音響的変化を観測した.その結果,報酬への期待を違反されたあとでの発声には変化がある個体が認められた.すなわち,報酬への期待と発声の音響的構造になんらかの関連性が認められた.これらの結果から,事後への期待とそれに対する評価によって発声の音響構造が変化することが示唆され,情動の関与はその周辺に存在する可能性が考えられた.こうした結果を考慮しながら,発話進化についての考察も行い論文成果として発表した.具体的には,発話出現を支える諸能力を複数仮定・定義して,その進化プロセスを考察する試みである.これらの仮説に基づいた,表情運動と発話進化との関連性についての研究論文をマカクザルを対象とした分析を通じ明らかにできた.さらに,進化プロセスの理解のために性選択の関与を考慮し,オス間競合によって生じうる霊長類発声の特殊化についての研究論文も取りまとめることができた.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Nasalization by Nasalis larvatus: Larger noses audiovisually advertise conspecifics in proboscis monkeys2018
Author(s)
H. Koda, T. Murai, A. Tuuga, B. Goossens, S Nathan, D. Stark, D. Ramirez, J. Sha, I. Osman, R. Sipangkui, S. Seino, I. Matsuda
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Journal Title
Science Advances
Volume: 4
Pages: eaaq0250
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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