2015 Fiscal Year Research-status Report
進化・再利用型造形技術に基づくグローカル循環式ものづくり基盤の構築
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15K00277
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
西野 浩明 大分大学, 工学部, 教授 (00274738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和幸 大分大学, 学術情報拠点情報基盤センター, 教授 (20174922)
池部 実 大分大学, 工学部, 助教 (50613650)
賀川 経夫 大分大学, 工学部, 助教 (90253773)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / デジタルファブリケーション / マルチモーダルインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,本課題の基盤となる要素技術とその応用システムに関する設計と開発,および有効性を検証するための初期評価を行った。主な実績は以下のとおりである。 1.要素技術の設計と開発:3次元モデルを3Dプリンタ等の機器で実体化する時に,使用する材料の選択やその消費量を極小化するためのデータ定義を,モデルの設計時に行える親環境型造形法を開発した。また,設計した3Dモデルに対して,視覚情報で強調表示したり,触感や香り等で演出効果を付加したりする環境提示型展示・演出手法を設計・開発した。さらに,これらの機能を効率よく利用できるようにするために,拡張現実や空中映像提示技術などに基づくユーザインタフェース構成法とクラウドを用いたデータ共有機構の設計と実装を行った。 2.応用システムの設計と開発:身近な素材や製品を用いた3次元モデル試作システム,制作者の感性や個性に応じた表現が可能なイラスト制作システム,ネットワーク管理者の業務をマルチモーダルな操作環境で支援する技術者支援システムを題材として,1で実現した要素技術を基盤に応用システムを設計・開発した。 3.応用システムの単体試験,検証および成果のまとめ:2で開発した応用システムの単体試験を実施して,要素技術の機能・性能について評価・検証を行った。また,本課題の技術的背景と研究目的,開発した要素技術と応用システムの構成,および評価結果等をまとめ,IEEE ICCE-TW国際会議(2015年6月),BWCCA国際会議(2015年11月),情報処理学会IOTSシンポジウム(2015年11月)等,国内外での学会にて発表し,専門分野の研究者からの意見聴取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は本課題の初年度であり,研究の基盤となる各種の要素技術に焦点をあてて機能仕様の設計,実装方法の考案,試作システムの開発を行い,それらを検証・評価するために複数の応用システムを開発して実験を行った。研究実績の概要の項目1および2に記載したように,当初の計画に掲げていた要素技術について基本設計とその実装を行い,それらを用いた応用システムの試作と評価をとおして,開発した手法の有用性を確認することができた。これらの成果については,7編の査読付き学術論文(発表予定3編を含む),および8編の査読なしシンポジウム・研究会論文および講演として発表を行った。要素技術の研究開発については,ほぼ当初の計画どおりに進めることができた。応用システムの開発においては,成果発表を行った2つの国際会議(ICCE-TW2015,BWCCA2015)においてBest Paper賞を受賞するなど,研究内容についても高い外部評価が得られている。以上の成果は,3名の分担者と常に進捗確認を行いながら研究活動を実施した結果であり,今後も,これまでの取り組みの継続とさらなる改善を念頭に,目標遂行に向けて鋭意努力する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成27年度に研究開発を行った要素技術を統合化し,ネットワーク環境で利用可能にすることで,開発した手法とそのシステム化の有効性について学内外の研究機関と連携しながら実験・検証・改良を行う予定である。特に,当初の計画に掲げていた多感覚データの環境型提示による演出手法の効果について,学内でのシステム管理や実験・演習指導などを題材にした応用システムを開発し,データの収集と分析,および実用性について検証する。また,平成27年度は,多くの国際会議やシンポジウムで成果を公開し,関連分野の研究者から有益な意見聴取を行うことができた。特に,本課題で着目する「親環境型ものづくり環境と多感覚情報による描出技術」については,広範な分野への応用が可能であるとの示唆を得ており,他分野の研究者や連携可能な外部機関とも協力しながら,新しい応用分野の開拓と展開を積極的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
主として物品費に残額が生じた。これは,平成27年度に開発したシステムの機能を評価するために導入予定であった機器について,ソフトウエア開発を優先し,実機での評価は次年度に移行して仕様・機能面で最適な機器の導入をすべく計画を見直したためである。また,旅費および人件費・謝金についても少し残額が生じた。旅費については,成果発表を計画していた国内会議が近隣県での開催となったこと,また,研究打合せについても,新たな旅費が発生しない形で実施したことによる。人件費・謝金については,予定していた実験内容の一部を次年度へ移行したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画では,本課題の遂行に必要となる全ての設備を平成27年度に導入する予定であったが,想定していた造形機器の価格性能比や機能を勘案して,要素技術の開発に関連する情報提示・演出機構の研究に関する物品購入を行った。造形機器に関連する研究に必要な設備については,最適な機器を検討の上,平成28年度中に導入を行い,物品費の執行を完了する予定である。また,要素技術や応用システムの開発および初期評価に関係するデータ収集と分析業務に対して平成27年度に謝金予算を執行したが,当初の計画からは残額が出ている。これは,平成28年度に予定しているシステム化の試験および応用システムの実証実験での執行に充てる予定である。研究調査や成果発表のための旅費およびそれに関連する諸経費については,少し残額が出ているが,当初の計画に基づいて執行してきており,継続して計画的に研究活動を行う予定である。
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Research Products
(15 results)