2015 Fiscal Year Research-status Report
高度環境調和型ディスプレイインタフェース構築のための視覚特性の理解とその応用
Project/Area Number |
15K00278
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 作一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (90452929)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ディスプレイ / 視覚 / ハイビジョン / 曲面ディスプレイ / 残効 / 立体視 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の大型テレビ受像機の急速な普及と2020年開催の東京オリンピックに向けた次世代ハイビジョンシステム(4K/8K)の開発加速、スマートフォン・タブレット端末の急速な普及、また、TVゲーム機器の立体表示(3D)化など、我々を取り巻く視環境は急速に変貌している。しかし、技術進歩を一歩誤れば、人間の視覚系に過度の負荷や適応不全を与える事態も予想される。 そこで、このような事態を未然に防止し、より多くの人が安全で快適な視環境を入手できるように、本課題においては、特徴的な視環境の変化に対応し、(1) 大型・高精細表示環境、(2) 立体表示環境、(3) 2色覚者に配慮したユニバーサルカラー表示環境、における人間の視覚認知特性を理解し、併せて新しい表示機器の開発に資することを研究の目的としている。 初年度である2015年度は、「(1) 大型・高精細表示環境における人間の視覚認知特性の解明」に注力した。前年度に発見した「曲面ディスプレイの残効効果(新しい錯視)」や「ディスプレイの大型化に伴うニュース番組の構図の変化の調査」等についてディスプレイ分野で最も有名な国際会議「SID Display Week 2015」で発表を行うと同時に、前者については個人差の原因について継続的に研究を行った。その結果、個人差は複数感覚による外界情報の統合特性に影響されることを発見し、2016年の「SID Display Week」で発表予定である。その他の項目、すなわち、立体視機能の個人差、色覚の基礎特性、等については研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の進捗状況としては、研究実績の概要にも記載した通り、「曲面ディスプレイの残効効果(新しい錯視)」の個人差の原因解明に向けて精力的に実験を行った。その他ディスプレイ関連については、ハイダイナミックレンジ(HDR)環境における人間の知覚特性の解明に向けて基礎的な実験環境の構築を行った。この項目については、今後、順次実験を行ってデータを取得する予定である。 立体視環境については、斜視の被験者における立体知覚特性の把握をおこなうための実験を行った。(未発表のため詳細の記述を控えるが)従来の知見を大きく覆す発見が得られたので、今後成果をまとめて発表予定である。 2色覚者に配慮したユニバーサルカラー表示環境については、上記を優先したため若干の遅れがあるが、本年(2016年)より、「複数色間の親和性」について通常色覚者と2色覚者との差異を検討する予定である。2015年度はその準備調査を行った。 その他の視知覚特性についても錯視研究をベースに検討を行っており、成果がまとまったものから順次発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな問題は見当たらないと認識しているので、現在の方針を継続予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に支障が出ない範囲で、予算の有効利用を目的とした節約を行ったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の予算はもともと逼迫しているので、研究を加速するために使用する
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Research Products
(14 results)