2016 Fiscal Year Research-status Report
高度環境調和型ディスプレイインタフェース構築のための視覚特性の理解とその応用
Project/Area Number |
15K00278
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 作一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (90452929)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ディスプレイ / 視覚 / 曲面ディスプレイ / 残効 / スマートフォン / フェイクニュース / ノート / ふり返り |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の大型テレビ受像機の急速な普及と2020年開催の東京オリンピックに向けた次世代ハイビジョンシステム(4K/8K)の開発加速、スマートフォン・タブレット端末の急速な普及など、我々を取り巻く視環境は急速に変貌している。しかし、技術進歩を一歩誤れば、人間の視覚系に過度の負荷や適応不全を与える事態も予想される。 そこで、このような事態を未然に防止し、より多くの人が安全で快適な視環境を入手できるように、人間の視覚認知特性を理解し、併せて新しい表示機器の開発に資することを研究の目的としている。 2年目の本年度は、複数の項目について研究を進展させた。まず、上記の結果を2016年5月に開催された国際会議「SID Display Week」で発表すると同時に、2016年12月には国際会議「IDW/AD 2016」で招待講演を行った。そのほかの項目についても研究を継続し、最近話題のHDR画像をSDR画像に容易かつ高速に変換するための新しい心理物理的知見を発見した。この成果は、2017年5月開催の「SID Display Week」に「Rate News Paper(採録率は例年20%-30%程度)」として採録された。 さらに「スマートフォン等の急速な普及が引き金となって我々を取り巻く視環境は急速に変貌し、その結果として現実に人々の認知能力に問題が発生している証左をつかむこと」にも注力した。この報告書を記入する時点では、アメリカやフランスの大統領選挙等を通じて一般に広く認知されつつある「偽情報(Fake News)」の問題にも関連して、「ノートをきちんととること」と「長期的なふり返りを行うこと」の2点が従来にも増して重要であることを明らかにした。その結果をもとに、新しい携帯端末のコンセプトを同様に「SID Display Week」で発表予定である(こちらは、通常のオーラルで採録)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2015年度)の進捗状況としては、研究実績の概要にも記載した通り、「曲面ディスプレイの残効効果(新しい錯視)」の個人差の原因解明に向けて精力的に実験を行った。その他ディスプレイ関連については、HDR環境における人間の知覚特性の解明に向けて基礎的な実験環境の構築を行った。また、立体視環境については、斜視の被験者における立体知覚特性の把握をおこなうための実験を行った。(未発表のため詳細の記述を控えるが)従来の知見を大きく覆す発見が得られた。他の項目の発表を優先させたため、今後成果をまとめて発表予定である。 2年目(2016年度)の進捗状況にしては、まず、初年度に計画していたが、他項目を優先したため若干の遅れが出ていた「複数色間の親和性」について通常色覚者と2色覚者との差異の検討を開始した。その結果、一般的に色弱者として一つの範疇で考えられることが多い、「2色覚」と「異常3色覚」の知覚メカニズムに大きな差異がある可能性を示唆する実験データを得た。これについては、最終年度さらに実験的検証を行う予定である。つぎに、上述の「HDR環境における人間の知覚特性の解明」については、予定通りに心理物理実験を行うことができ、その結果を研究実績の概要で述べた通り、2017年5月の国際会議(SID Display Week)で発表予定である。さらに、「スマートフォン・タブレット端末の急速な普及が引き金となって我々を取り巻く視環境は急速に変貌し、その結果として現実に人々の認知能力に問題が発生している証左をつかむこと」についても、詳細には大規模な検証が必要であるが、一定の知見を得ることが出来た。この結果についても同じ国際会議で発表予定である。なお、上述の2件の国際会議発表案件については、特許出願も行った(2件は2016年度中、1件は2017年度になってから)。
|
Strategy for Future Research Activity |
特に大きな問題は見当たらないと認識しているので、現在の方針を継続予定である。
|
Causes of Carryover |
経費節約のため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度有効活用する。
|
Research Products
(15 results)