2016 Fiscal Year Research-status Report
協力行動に関する多重進化ダイナミクス解明と促進システム構築
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15K00304
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 隆也 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (40202759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 協力の進化 / 間接互恵 / ゲーミフィケーション / 進化シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の協力行動に関わる生物進化ダイナミクスと文化進化ダイナミクスを理解し,さらに,その知見を応用して実社会での協力行動を促進するシステムを実現することを目的とする本研究の4つのサブテーマがH28年度にはすべて開始され,以下のように研究が順調に進捗した. まず,多重協力進化の計算論的モデルに関しては,直接互恵,間接互恵,一般化互恵,サードパーティ効果の4つが同時に働きうるモデルに関する進化シミュレーションを行い,直接互恵と間接互恵によって協力が達成されること,さらに,その両者による協力が進化する過程において,一般化互恵が一定の役割を果たしている可能性を発見することができた.日常埋込み型実験環境に関しては,新たにマルチプレイヤー型オンラインゲームとしての実験環境を構築した.これにより,ゲーム論的設定に基づく人間関係の連続的な変化をリアルタイムの実験として観察することが可能となった.これを使用した被験者実験を進めた.大規模ソーシャルゲーム協力環境に関しては,あるソーシャルゲームの行動データ(7万人のユーザ)を統計分析して,ユーザ間のコミュニケーションが協力行動に与える影響を統計分析により明らかにした.特に,コストの大きいコミュニケーションは協力行動に影響を与えることを示唆する知見を得た.協力促進プラットフォームに関しては,基本的なフレームワークの理論的構築を進めると同時に,このフレームワークを議論の活性に適用したシステムの設計と試作を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
設定した4テーマが順調に進捗したといえる.特に注目すべき成果は,多重協力進化の計算論的モデルに関して,複数の協力進化のメカニズムを同時に活性化しうる状況を想定してはじめてわかるような知見が得られたこと,及び,大規模ソーシャルゲーム協力環境に関して,膨大な数のゲームプレイヤーの行動データから協力行動のメカニズムに関わる知見が得られることを示したことである.以上より,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
多重協力進化の計算論的モデルに関しては,成果を広く発表しつつ,さらに理論を洗練する.日常埋込み型実験環境に関しては,さらに被験者を増やして,様々な観点からの実験を進める.大規模ソーシャルゲーム環境に関しては,様々な理論との関連を検討しながら,統計分析を進める.協力促進プラットフォームに関しては,計算モデルで得られた知見等も活用しながら,システムの洗練を行う.
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Causes of Carryover |
消耗品や人件費等の支出を抑えることによって,119,520円を次年度に繰り越すことになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,主に成果発表のための旅費に使用する予定である.
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Research Products
(5 results)