2015 Fiscal Year Research-status Report
手書き文字自動採点システムの実用化に向けた運用実験
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15K00497
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Research Institution | Gifu Keizai University |
Principal Investigator |
井戸 伸彦 岐阜経済大学, 経営学部, 准教授 (30340061)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | eラーニング / 漢字検定 / 手書き入力 / 自動採点 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢字検定相当の試験の自動採点を行うシステムを実際の大学教育で運用し、教育成果を上げる上で性能上の問題が無いことを示すことを目標に、報告者は研究とシステム開発とを進めてきた。科研費を頂いて購入したタブレット端末を用いて、27年度7月には報告者が大学で担当する授業にて該システムを受講生が実際に用いる試行運用し、評価実験を行った。評価実験では、限られた範囲での運用ながら、実用化に向けての技術的な確認を行うことが出来た。 この試行運用の実施結果を平成27年度教育改革ICT戦略大会(9月4日)において発表し、この際に(株)日立公共システム様との面識を得て、その後の協力体制につなげることが出来た。すなわち、9月18日には報告者が日立公共システムを訪ねてシステムに関わる説明を行い、また、12月18日には日立公共システムから営業第3部長御一行3名に岐阜経済大学まで訪問頂き協力体制について打ち合わせを行うなど、商用化に向けた検討を共同で行っている。この中には、日立公共システム様の営業部門による顧客へのアプローチや、システムで用いる漢字フォントの商用二次利用のための手続き等が含まれている。また、日立公共システム様が製品展開を行っている中国への特許出願についても合議を行っている。 漢字自動採点システムの実用化に向けては、採点時に用いる漢字の採点情報の作成が鍵となる。この点に関して大きな意味を持つ文書「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」が、文化庁より発表された(平成28年2月29日)。今後、漢字の正誤の判定はこの文書を基本に行うべきと考えられるため、該文書に沿った体系とした採点情報の再構築の作業を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試行運用による評価実験を計画通り行ったこと、画数フリー化などの計画していた機能追加がほぼ完了したこと、頂いた科研費にて購入したタブレット端末を用いた運用環境を整えたことなどを鑑みて、おおむね計画どおりに進捗していると評価している。 当初想定していた計画よりも進んだ事項としては、日立公共システム様と協力体制を築けたことが挙げられる。実用化/商用化に向けては企業様との協力が大きな力となるが、想定よりも早くこのような関係が得られたことはプラス材料と考えている。この影響として、商用化に向けた作業へのウエイトが増しており、研究発表へのウエイトをやや減らさざるを得なくなった。 計画よりも遅れている事項としては、採点情報の作成が挙げられる。上述のとおり、文化庁より「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」の文書が発表され、これに忠実な採点を行うシステムとするための採点情報の再構築作業が必要となった。再構築作業は当初計画よりも作業量が大きくなり、日程も遅れることになった。しかしながら、豊富な例を用いて漢字の正誤についての徹底した記述がなされている点で該文書は本研究にとっては大変有用なものであり、システムの完成度/実用性能を上げるための工程として捉えれば、プラスの面が大きいと捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、企業様との協力関係が出来たことに伴い、実用化(商用化)に向けた研究開発に注力していく予定である。具体的には、顧客への効果的は説明を行うためのデモシステムの開発、および、「日本国語教育学会」などの漢字教育関係者に向けた研究発表を行っていく。これらには充実した採点情報の構築が重要となるため、かねてより開発してきた採点情報作成システムに機能追加を行って効率向上を図る予定である。これにより、常用漢字については28年度内に漢字検定での実用レベルの完成度まで仕上げて行く計画である。 また、当初計画していなかった事項に、正答としてシステムで表示するために市販フォントを商用二次利用することが挙げられる。システム開発工程上の影響は大きくないが、後述するように費用としては影響が大きい。
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Causes of Carryover |
上述のとおり、当初計画していなかったが、システムでは市販フォントを商用二次利用することにした。これは、システム利用者が納得行く字形を正答として示すために、漢字検定で用いられている(株)モトヤのフォントを利用することが妥当と判断したためである。(株)モトヤへ見積もりを取ったところ、「改定常用漢字対応フォント モトヤKJ教科書2」のアプリ向けライセンスで559,440円、webシステム向けライセンスで416,880円であった。今後、システムの実用化の方式検討の後に、両方もしくは一方のライセンス料が必要となる。幸い、手書き入力を行うためのタブレット端末が、新製品の登場などで想定よりも廉価で入手可能となったことより、研究推進上問題は生じない見通しである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由を踏まえて、今後、方式検討の状況に合わせてのライセンス料支払いと、これとの兼ね合いで台数を調整して実用運用向けての追加導入分のタブレット端末を購入する必要が生じる見込みである。以上より、ライセンス料として976,320円、タブレット端末追加導入費用として約80万円を、28年度に支出することを現状では予定している。
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Research Products
(3 results)