2015 Fiscal Year Research-status Report
姉妹関係にある外来種と固有種の可塑的・遺伝的形質の種間比較による侵略機構の解明
Project/Area Number |
15K00565
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小西 繭 信州大学, サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 研究員 (00432170)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国内外来種 / 絶滅危惧種 / 種間比較 / 遺伝的撹乱 / 種の置換 / 繁殖形質 / マイクロサテライト解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外来種モツゴは、姉妹関係にある日本固有種シナイモツゴと置き換わりながら急速に分布を拡大した。本研究では、モツゴの侵略メカニズムを解明することを目的として、これまでの研究成果に基づいて選んだ可塑的・遺伝的形質に焦点を絞り、集団遺伝学的解析、系統地理学的解析、行動実験、ならびに飼育実験により徹底的な種間比較を実施する。本年度は、以下の二つを実施した。 1.マイクロサテライトDNA解析:モツゴを対象として、次世代シーケンサを用いて作成したSTRライブラリより80座のプライマーを設計・作成し、スクリーニングを行った。80座のうち50座について解析に適用できるPCR産物を確認することが出来た。長野県内外4地域より採集されたモツゴを対象として、およそ30のSTR座、ならびにmtDNAのハプロタイプ解析を実施した結果、異なる起源に由来する個体が人為的に混合することにより遺伝的多様性が増大していること、またmtDNAハプロタイプと比較して核ゲノムにおいて高い多様性が維持されていることが示唆された。 2.低酸素耐性に関する行動実験:シナイモツゴの止水適応の検証の一環として、鼻上げ時の溶存酸素濃度がおよそ3.9mg/ml(20℃下)であることを特定した。また実験開始前に水槽内の溶存酸素濃度を低下させ、動画撮影しながら同時に複数個体を試験する効率的な実験系を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
12月まではほぼ計画通りに進み、年度内に計画内容を達成する見込みであった。しかし、1月に所属組織の廃止が決まり、年度末の3か月間は実験や解析を十分に行う時間を確保できなかった。その結果、シナイモツゴのSTR解析、ならびにモツゴの低酸素体制実験に関するデータを十分に蓄積できず、種間比較を達成するに至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験補助者を雇用し、初年度の遅れを取り戻す。そして、2年目の研究計画である繁殖生態の種間比較のための行動実験、ならびに最終年度に向けての同一環境下における2種の飼育を計画通りに遂行する。
|
Causes of Carryover |
室外飼育用の大型水槽関連の消耗品について、当該施設にある物品の再利用することにより、当初の計画より経費の節約ができたため。前年度のDNA実験にやや遅れが生じ、消耗品の使用量が減ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度分の遅れを取り戻すために、H28年度請求額と合わせて、実験補助者の謝金や消耗品の購入に充てる。また、成果公表のための印刷費や旅費にも使用する。
|