2015 Fiscal Year Research-status Report
低周波水中音-洋上風力発電施設から放音される低周波音は魚類に影響を及ぼすか-
Project/Area Number |
15K00575
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Research Institution | Marine Ecology Research Institute |
Principal Investigator |
島 隆夫 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研中央研究所, 研究員 (20541056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 一幸 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研中央研究所, 研究員 (10541089)
今里 元信 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80443240)
井上 俊司 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50575157)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 洋上風力発電 / 低周波音 / マダイ / シロギス |
Outline of Annual Research Achievements |
洋上風力発電施設から継続して発生することが予想される低周波水中音が海産生物に及ぼす影響について,これまで十分な検討は行われていない。本研究では,低周波水中音の継続曝露が魚類に与える影響を解明し,今後建設が進むであろう洋上風力発電施設の稼働に伴い必要となる環境アセスメントを実施する際に必要となる情報・知見を得る事を目的とする。 出力音圧レベル(ピーク値)が140dB re 1μPa(140dB区),120dB re 1μPa(120dB区),100dB re 1μPa(100dB 区)の100Hz純音を環境音に加えた3試験区および環境音のみ(コントロール区)の4条件でのマダイ0歳魚(平均体重2.5g)を43日間,自発摂餌システムにより給餌して飼育した。低周波水中音曝露開始直後には,140dB区のみで水槽底に向かって突進し,水槽底付近で停止と遊泳を繰り返すなどの驚愕反応と考えられる行動が認められ,約40分間摂餌行動が抑制された。試験期間を通じて見た場合,遊泳行動,摂餌日周リズムおよび体重,日間摂餌量,飼料効率等の飼育成績に試験区間で有意な差は認められなかった。 桑実胚期のシロギス受精卵を上記と同様の低周波水中音条件に約40時間暴露した結果,いずれの試験区においても,正常孵化率は96%以上であり,異常卵率,異常孵化率も試験区間で差は認められなかった。以上の結果から,低周波水中音はシロギスの卵発生にほとんど影響しないものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低周波水中音に対するストレス応答試験は,供試魚入手時のサイズが小さかったため,27年度中に実施できなかった。本研究所において生育させた結果,十分なサイズに成長したので現在試験を実施している。 低周波水中音のシロギス卵発生への影響試験は29年度に実施予定であったが,受精直後の卵が安定して供給される状況にあったため,27年度に前倒しして実施した。 28年度の試験に供試する予定のシロギスは,すでに十分量確保し,雌雄判別等の準備はほぼ完了しており,29年度供試予定のシロギスの確保も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度予定のマダイ,ヒラメを対象としたストレス応答試験を本年度前期に実施する。 水温,光周期をコントロールできるシロギス産卵試験水槽4基(FRP製,3000L)に27年度に定めた低周波水中音条件(音圧・周波数)を設定し,試験水槽内における水中音の周波数特性,音圧分布状況を把握する。 シロギス産卵試験水槽4基にシロギス2歳魚を雌雄10尾ずつ収容し,水温・日長をコントロールして産卵を誘発し,産卵行動,産卵周期を確認した後,低周波水中音条件に曝露し,産卵行動への影響を解明する。
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Remarks |
海生研創立40周年記念報告会〜かけがえのない海を未来へ〜 予稿集
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Research Products
(1 results)