2016 Fiscal Year Research-status Report
水素分離型反応分離プロセスを用いた二酸化炭素からの合成ガス製造
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15K00582
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上宮 成之 岐阜大学, 工学部, 教授 (60221800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 学 岐阜大学, 工学部, 助教 (60538180)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反応分離 / メンブレンリアクター / ドライリホーミング / パラジウム膜 / 水素 / 二酸化炭素 / メタン / 合成ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
水素分離膜を組み込んだ反応分離プロセスを用いて、二酸化炭素をメタンと反応し合成ガス(一酸化炭素と水素)に高効率に変換するシステム開発について基礎的知見を得ることを目的としている。検討事項は大きく二つに分けることができ、①新規な構造を有する高水素透過性パラジウム複合膜の開発、②高活性なメタンドライリホーミング触媒の開発、である。 検討項目① 樹脂基板上にめっき法でパラジウム薄膜を作製し、その上に多孔質金属支持体層を形成する新規な複合構造を検討している。薄膜化の際にパラジウム膜の機械的強度の向上が必須であり、ホール-ペッチの関係式を参考に、パラジウム結晶粒子を微細化することで薄膜の強度向上を試みている。パラジウムめっき用樹脂基板をABSからPCに変更することで表面粗さが低下し、さらに表面をプラズマ処理することで、めっき反応の触媒となるパラジウム核が微粒化できた。めっき条件などを検討したした結果、多孔質支持層がない自立膜では、水素透過試験において4倍程度耐圧性を増すことが確認できた。また多孔質支持層は開孔率を50%近くまで増加されることに成功している。 検討項目② ドライリホーミングに対して高活性を示すジルコニア担持ルテニウム触媒に二酸化炭素を吸着させるための塩基性物質や格子欠陥による二酸化炭素の活性化が期待されるセリアを添加した触媒を作製し、活性試験を実施した。セリアより塩基性物質を添加したときの方が活性が向上した。さらに塩基性物質を添加した担体の二酸化炭素の昇温脱離測定結果から、弱塩基点の多い触媒と強塩基点の少ない触媒は塩基量が増すにつれて活性が向上する傾向が見られた。しかし、強塩基点についてはある塩基量で最も活性が高くなったのち、触媒活性の低下傾向が見られた。二酸化炭素吸着用塩基サイトを制御することで活性を向上できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①「新規な構造を有する高水素透過性パラジウム複合膜の開発」では、ポリカーボネート(PC)樹脂表面をプラズマ処理することで、めっき触媒となるパラジウム超微粒子を基板と密着良く担持することができた。まためっき条件を検討し、薄膜を構成するパラジウム結晶が微小となるようにした。その結果、ホール-ペッチの関係式であらわされるように、結晶の微細化に伴い薄膜の強度を向上させることができ、多孔質金属支持層のない自立膜の状態で耐圧性が4倍向上することを実証した。また多孔質金属支持層の開孔率は50%近くまで向上させることに成功しており、最終年度では計画通りそれらの開発技術を組み合わせて複合膜を作製し、反応に供することにする。 ②「高活性なメタンドライリホーミング触媒の開発」では、酸素貯蔵能を有するセリアやジルコニアを担体や助触媒として使用することを当初計画していた。しかし触媒活性試験の結果、セリアよりランタンや、さらにランタンに微量カルシアを添加した担体を用いたときルテニウム触媒は高活性を示した。さらに塩基点の塩基性の強さや量を制御することで活性を向上できることを実証した。これらの結果は、反応分離プロセス用の低温でも高活性な触媒の開発に繋がると言える。 以上のようにそれぞれの研究課題に対して、若干遅れはあるものの最終年度に予定されている、開発した水素分離膜および触媒を使用したメタンドライリホーミングの反応分離試験が実施可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に予定されていた、開発した水素分離膜および触媒を組み合わせて使用し、メタンのドライリホーミング試験を実施する。 反応温度350-500℃、反応側:常圧、透過側:スイープガス使用または減圧の条件下で反応を実施する。水素分離の無い既存プロセスに対する反応分離プロセスの優位性を証明するとともに、さらには水素透過能、触媒性能の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品購入の一部に対して校費(運営交付金)を充当したしたことにより、当該年度の所要額とに若干の差異を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した37,247円については、最終年度(平成29年度)において物品費に充当する。
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