2015 Fiscal Year Research-status Report
外部刺激による可逆応答性を示す新規バイオベース材料の創製
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15K00612
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
井上 陽太郎 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00372136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘 秀樹 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (60359429)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物油 / Diels-Alder反応 / ネットワークポリマー / 自己修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は熱刺激により自己修復機能を有する植物油ベースとした機能性ネットワークポリマーの開発を行った。 ひまし油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油が有する不飽和基に対し、メルカプトエタノールとのチオール-エン反応により、植物油ポリオールを良好な収率で合成した。続いて、これらの植物油ポリオールに脱水縮合反応を利用し、マレイミドと可逆的なDiels-Alder反応を起こすフラン骨格を導入した。次に、合成したフラン官能基を有する植物油誘導体と、多官能性マレイミドとの可逆的Diels-Alder反応により、可逆的共有結合部位をもつネットワークポリマーを作製した。作製したネットワークポリマーは透明性および柔軟性を有し、ガラスやPETフィルムなどに容易に製膜できることがわかった。また、作製したネットワークポリマーの引張試験による機械的特性の評価を行ったところ、油種とマレイミド誘導体の組み合わせを変えることにより、機械的特性が大きく変化することを見出した。特に、フラン骨格をもつひまし油誘導体と1,3-フェニレンビスマレイミドから作製したネットワークポリマーの破断強度が44MPaにまで達した。 また、ガラスやPETフィルムに製膜したネットワークポリマーに対し、人為的に傷つけ、加熱により、傷の修復性を顕微鏡により確認したところ、傷は外観上修復されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請書に基づき下記の点に関して主に研究を進め、当該年度の目標を達成した。 (1)基本骨格となる植物油への官能基の導入および反応性基の修飾 (2)可逆反応を活用したネットワークポリマーの作製 (3)熱刺激による自己修復性の評価 特に(2)と(3)において、作製したネットワークポリマーの引張試験による破断強度が40MPa以上の強さを有するネットワークポリマーの作製を目標に掲げていたが、目標を達成した。また、人為的に付けた傷を熱による外部刺激により、外観上修復されることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前年度で作製したネットワークポリマーの修復後の機械的強度の変化、ケミカルリサイクルを繰り返したときの機械的強度の変化を追跡する。さらに、前年度に合成した植物油ポリオールに対し、光刺激により可逆的に応答する植物油ベース光硬化性材料の合成と評価を行う。特に、添加剤なしで光照射により容易に分子間で環化反応が進行する基質を導入し、光硬化時の挙動を追跡し、硬化後の表面物性の評価を行う。
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Causes of Carryover |
物品費で購入したセミミクロ天秤を当初の予定より安く購入できたため、残額が生じた。また、旅費およびその他経費に関して、他の業務と重なってしまい、当初予定をしていた学会に参加できなくなったため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、物品費として使用する。
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Research Products
(7 results)