2016 Fiscal Year Research-status Report
可視化と価格付けによる家庭用電力需要の制御に関する研究:離島でのフィールド実験
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15K00645
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
島田 幸司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70367986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 卓也 神戸大学, 評価室, 特命助教 (00625642) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイナミックプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
自律分散エネルギーシステムを構築するためには,蓄電池への過度の依存回避の観点からも自然エネルギー等による電力供給の時間変動にできる限り追随した需要管理(デマンドサイトマネジメント)が重要な視点となる。とくに本事業が対象とする離島では,持続可能なエネルギー需給システムの構築が電力市場自由化や災害時への対応の観点から喫緊の課題となっている。 一方,電力需要管理のための消費情報のリアルタイムなフィードバックやダイナミックプライシングの効果を計測・推計した例は日本ではほとんど存在しない。他方,電力市場の自由化やデマンドレスポンスによる需要削減が進む欧米の一部の国・州では,電力のダイナミックプライシングの社会実験が行われてきており,2000年代には15例ほどの取組が報告されている。 そこで本研究では,地域特性を踏まえた消費情報の可視化やダイナミックプライシング手法の確立を目指し,兵庫県南あわじ市沼島の世帯群(50世帯)を対象として,電力消費状況の情報のリアルタイムフィードバックや自然エネルギーの発電量・蓄電量に応じた時間帯別電力価格制導入による電力消費制御のフィールド実験を実施した。具体的には、夏期(8月)に太陽光発電ポテンシャル(日射条件)等に応じたプライシングを設定し,参加50世帯(実験群25世帯,対照群25世帯)の電力消費抑制効果を検証した。電力消費の可視化とプライシングの総合効果で対照群と比較して10%程度の電力消費量の抑制を目指した。 夏期のプライシング実験のパネルデータ分析より、実験前後×実験群対照群の間の消費電力削減効果(DID)は、10.6%(10%水準で有意)となり、当初の目標を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年度のフィールド実験の経験も踏まえ、2016年度も沼島の参加世帯のご協力のもと順調にダイナミックプライシング実験を行うことができ、十分なデータを得ることができた。 これらのデータの解析の結果、既往の研究や前年度までの結果と整合的なプライシング効果が実証された。 このような一連の研究成果を国際学術誌(査読付き)に掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイナミックプライシング効果に関する離島でのフィールド実証は、ほぼ当初の目標を達成することができた。 今後は研究のスコープを広げ、地域レベルで太陽光発電等による電力供給と電力需要の最適なマッチングシステムを研究対象とし、以下の項目に研究を深化させることとする。 1)再エネの大量導入を念頭に置いた取引メカニズムの理論的検討(メカニズム・デザイン) 2)経済実験(実験室)による1)の理論的仮説の検証 3)検証された成果の社会への実装検討
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Causes of Carryover |
分担研究者において執行残額が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担研究者は2017年度から本研究を担当しなくなったため、研究代表者にて計画的に執行する予定。
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