2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K00663
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
泉 留維 専修大学, 経済学部, 教授 (80384668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オープンスペース / フットパス / 自然アクセス権 / コモンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるフットパスの実態を明らかにするために、フットパスの導入が進んでいる北海道と九州(主に熊本県)において現地調査を実施した。また、日本においてフットパスを訪れるウォーカーが、フットパスに対して利便性や快適性を追求したレクリエーション空間であることを求めているのか、もしくはあまり手を入れず自然のままの状態を色濃く残した空間であることを求めているのかという嗜好性を明らかにするために、ウォーカーに対してアンケート調査を実施した。2015年度は、試験的に北海道の黒松内フットパス、東京都の多摩丘陵フットパス、そして熊本県の美里フットパスにおいて16項目からなるアンケートを配布し、主成分分析などを行った。分析を行った結果、3つの群にウォーカーを分類することができ、各フットパスでウォーカーの特性が若干異なることがわかった。 イングランドのコモンズのオープン・アクセス化の歴史を把握するために、17世紀から始まる貴族の宅地開発に付随する形で設置され始めたロンドンのスクエアに着目し、文献考察から、その形成過程や保全政策についての分析を進めた。特にロンドンのスクエアに関して、第一にその保全と一般への開放を目指して活動を展開したカール協会とメトロポリタン公共公園協会、第二にオープンスペースの開発を規制する法案の策定過程について分析を行った。都市化の進展などと共にスクエアのステークホルダーは増加しており、それらにあわせて排他的であったスクエアも全面的であれ部分的であれ公開するのが、持続的に良好な状態を保つためには望ましいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内のフットパスの現状把握については、現地調査を繰り返すことで、その情報蓄積を順調に増してきている。また、フットパス以外のオープン・アクセス化された道として、ロングトレイルにも着目し、現状把握を始めている。さらに、ウォーカーの視点からの自然アクセスへの認識や欲求をはかるためのアンケート調査や、海外、特にイングランドでのオープン・アクセス化の歴史の文献考証も予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のオープンスペース、フットパスやロングトレイルの現状や、歴史的な経緯を踏まえての社会的意義の変容を把握するために、現地調査を重ね、必要に応じてアンケート調査も再度実施する。特に日本国内では、都市近郊のフットパスやロングトレイルに焦点を当て、海外では、ロンドン近郊のフットパスやスクエア、カナダのロングトレイルに焦点を当てる。ヨーロッパ諸国の自然アクセス制度について、基本的人権としての「自然享受権」の確立に向けた法整備の過程の文献調査を行う。
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Causes of Carryover |
予定していたノートパソコンの購入が遅れたことから差額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り速やかにノートパソコンを購入する。
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Research Products
(2 results)