2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K00663
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
泉 留維 専修大学, 経済学部, 教授 (80384668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フットパス / トレイル / オープン・アクセス / アクセス権 / コモンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のフットパスやロングトレイルの実態を明らかにするために、引き続き導入が進んでいる北海道(三浦綾子の文学に載った場所を巡るフットパス、インバウンド観光を意識したフットパス)と、京都(京都一周トレイルや2017年度に開通した大江山連峰トレイル)で現地調査を実施した。北海道においては、エコ・ネットワークやFNHを中心にしてフットパスの普及は着実に進んでおり、また道東ではロングトレイルの整備も進みつつある。さらに国外の動向を把握し、日本の状況と比較するために、ランナーやバイカー向けのトレイルの整備が進みつつあるニュージーランドでの調査や、都市近郊でのトレイル整備が進んでいる台湾での調査も実施した。特に東アジアでのフットパスやトレイルの整備は、当初想定していたよりも進んでおり、さらに文献調査も含め研究を進める予定である。 また、前年度に引き続き、フットパスを設けるなどして里山をオープンにし、域外の観光客を呼び込もうとしている東京都町田市の北部丘陵エリアにおいて、里山に関わる様々なステークホルダーの聞き取り調査を実施した。昨年度、里山交流施設の利用者に対して行ったアンケートでは、里山をオープンにした上で、適切な管理が行われていることに満足を示す結果が出たが、里山のオープンな利用には強く抵抗を示すステークホルダーもいる。里山保全の重要性はステークホルダー間で共有できているが、その利用方法についてはかなりのズレが生じている。このズレをどのように調整するのか、もしくはズレはそのままにして共有できる何らかの目標を立てるのか、今後、さらに現地調査を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内のフットパスやロングトレイルの現状把握については、現地調査や文献調査を繰り返すことで、その情報蓄積が順調に増している。さらに、海外のトレイル事情についての情報が不足しているため、現地調査を行い、情報の蓄積をはかっている。また、オープン・アクセス化に伴い軋轢が生じている都市近郊の里山について、定量および定性調査を行い、オープン・アクセス化に伴う課題について整理を進めている。研究内容についての公開(HPの作成、学会報告やジャーナル等への投稿)が、予定より若干遅れ気味になっているため、その点については改善をしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のフットパスやロングトレイルの現状や、歴史的な経緯を踏まえての社会的意義の変容を把握するために、現地調査を積み重ね、必要に応じてアンケート調査を再度実施する。最終年度でもあることから、特に日本国内では都市近郊の里山に関わるフットパスに焦点を当て、海外では東アジア圏のフットパス・トレイルに焦点を当てる。ヨーロッパ諸国の自然アクセス制度については、基本的人権としての「自然享受権」の確立に向けた法整備過程の文献調査を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が一件、中止になったため差額が発生した。 研究目標を見させるよう代替となる海外もしくは国内調査を速やかに実施する。
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Research Products
(6 results)