2015 Fiscal Year Research-status Report
災害時におけるトイレ機能確保のための事業継続計画とその実践に関する研究
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15K00664
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
岡山 朋子 大正大学, 人間学部, 准教授 (20418734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 修久 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (00399619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境政策 / 災害 / 避難所 / トイレ / 事業継続計画 / 防災計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究初年度であったため、事例研究や実態調査をもって、災害時におけるトイレ機能確保に関する問題の所在を検証し、課題を抽出して整理した。 自治体へのヒアリングとしては、6月に南三陸町と女川町を訪問し、震災時のトイレ状況について情報を得た。調査事例としては、9月に発生した常総市の水害について、発災4日後に常総市に訪問し、市役所前に17基の仮設トイレが設置されていることを確認した。また、10月末から2日間、震災半年後のネパール・カトマンズの避難キャンプならびに郊外のサクーの仮設住宅を訪問し、ヒアリング調査を行った。(英語によるメモあり) 平山は、行政および企業に対してアンケート調査を設計する前の準備を行った。 また、日本トイレ研究所のトイレフォーラムにおいて共同研究者の平山がかつて講演した資料を共有し、また岡山も9月にトイレラボにおいて講演した際に、東日本大震災時の石巻市の避難所のトイレの状況および破壊された下水処理場と下水管への仮設住宅の接続状況、浄化槽の状況等と、常総市の視察調査結果速報をまとめて発表した。 研究発表としては、10月にインド・デリーで開催されたIDRiM2015においても、同様の内容で発表を行った。さらに2月に山形県山形市で開催された集団災害医学会においても、特別講演として災害時のトイレが特に女性にとって過酷なものであり、そのために健康被害が起こること、従って、災害時のトイレも最低限のアメニティを保つことが重要であるという旨の発表を行った。平山も学会口頭発表ならびに論文発表を行っている。 岡山は、世田谷区の小学校・中学校・高校において、災害時に避難所となった際のトイレマネジメントをどのように行うべきか、マニュアル作成を行うプロジェクトにも参加し、知見を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、文献調査とケーススタディから、災害時におけるトイレ機能確保に関する問題の所在を検証し、課題を抽出して整理するというものであった。これに関して、実際に常総市ならびにネパール・カトマンズとサクーの調査を実施し、これまでの事例(例えば東日本大震災時の石巻市等)を比較し、特に日本においては、災害時に避難所においてどのようなトイレマネジメントを行うべきか、具体的に課題を抽出し、それを解決するための計画づくりが進行した。 さらに、災害時にトイレが使えなくなる原因は、停電によって水が流れなくなることによるものだが、水およびエネルギー独立型のトイレであれば災害時(停電時)でも使用できる。そのような防災トイレの実装について、山形県長井市において検討を始めた。 大学や企業を対象としたBCP策定状況のヒアリングあるいはアンケートについて、平山が担当した。平成27年度はアンケート調査設計のための準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
岡山は、大学におけるトイレBCPについて、避難訓練につなげられる行動計画の策定を本学(大正大学)において目指す。 また、長井市における防災トイレの実装についても、別プロジェクトを構築しながら推進する。 平山は、企業および行政のトイレBCPについて引き続き調査を行い、アンケート調査を実施し、ワークショップを主に自治体を対象に実施するよう準備する。
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Causes of Carryover |
岡山については、当初予定していた謝金(交通費込み5万円)について、実際に請求された謝金費用が予定額を下回ったため、差額が生じた。 平山については、BCPに関する企業を対象としたアンケート調査について、平成27年度はアンケート設計のためのヒアリング調査等の準備を行った。アンケート実施分が差額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に、差額についても合わせて当初計画に基づき、執行するものとする。
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Research Products
(5 results)