2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00676
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
熊澤 貴之 茨城大学, 工学部, 准教授 (30364102)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化施設 / 地域生活行動 / 地域愛着 / 公共空間利用 / 地域交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
文化施設における利用者と地域生活行動との因果関係を把握するため,文化創造の機能を持つ公共施設の一つとして茨城県日立市の交流センターを取り上げ,施設の機能と利用者の調査を実施した.日立市交流センターは1984年5月に日立市内に初となる施設が塙山地区に開館し,その後続々と建設が進み,現在,日立市では,市立小学校区に対応して施設が一か所ずつ整備されており,小学校区に対応したコミュニティづくりが実施されている.まず,日立市コミュニティ推進協議会が数か月ごとに発行している地域情報紙「こみこみ」が日立市内の地域活動を多く取り上げているため,住民の地域における活動内容を把握できると考え,これまでに発行されたすべての記事を収集し,内容を分析した.その結果,環境,交流,地域,安全に関する記事が多く,その中で交流センターに関連する記事は全部で59件抽出され,生活行動に密着した地域における交流や活動に関する内容が多く含まれた. 次に,交流センターの利用が「地域愛着形成」「公共空間利用」「地域交流」で構成される「地域生活行動」に与える影響を定量的に検討するため,交流センターの利用者を対象にアンケート調査を実施した. その結果,施設の常時利用型の人とイベント利用型の人がおり,共通して居心地の良さが「地域愛着形成」へ影響を与え,さらに「地域愛着形成」が「地域交流」に影響を与えることが把握された.「地域愛着形成」の大きい人ほど地域を大切にし,積極的に地域の活動へと参加する傾向があった.また,イベント利用型の人は「地域交流」を強めると,さらに,「公共空間利用」を強める効果が確認された.常時利用型とイベント利用型の人が持つ因果構造モデルを重ね合わせることで,心地よい拠点施設の利用が地域の愛着を醸成し,次に,「地域交流」を強め,さらには近隣の「公共空間利用」に波及するという地域生活行動デザインが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては,複数の文化施設利用者からアンケート調査を実施し,データの分析を実施することができた.現在,研究論文としてまとめている段階であるため,概ね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度では,地域劇場ホールの周辺の地域住民を対象に,地域劇場ホールの利用状況及び関わり方と住民評価構造との因果関係を把握した.2016年度では,文化施設の利用者と地域生活行動との因果関係を把握した.今後は,公共ホールなどの文化芸術施設における住民の関わり方の一つとして社会的包摂機能を取り上げ,この機能の位置づけと効果を検討する.
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Causes of Carryover |
論文掲載料として支払うことを予定していたが,支払いに日時が次年度になったため,これらの使用金額を繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文掲載料として使用する予定である.
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