2015 Fiscal Year Research-status Report
ヤマブシタケの凝乳酵素を用いた日本独自のナチュラルチーズの新規な特性の解明
Project/Area Number |
15K00780
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 和夫 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80111780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 守正 山梨大学, 山梨大学・総合研究部, 教授 (60621323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヤマブシタケ / 凝乳酵素 / カ-ド / チーズ / 菌糸体培養 / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
きのこ酵素を用いて作製したチーズの賞味期限の拡大と食感に優れたチーズを開発するために、凝乳酵素生産法の検討とチーズの作製、チーズの物性評価と抗菌性試験、および酵素の分離精製の試みを行った。 1.酵素生産法の最適化とチーズの作製:ヤマブシタケNBRC株100328株を含む8株の分譲株について菌糸体のフスマ固体培養を行って酵素生産を行った。凝乳酵素活性は5株に認められ、カード作製能も認められた。酵素活性量、カード収量を検討した結果、MAFF435060株をチーズ生産生産株として選抜した。選抜株のフスマ培養における酵素生産条件を検討したところ、25℃、接種量5disk、水分含有量60%における培養条件が最適条件であった。きのこ酵素を用いると、レンネットと同様に低温殺菌乳からは満足のいくチーズが作製できた。レンネットが不可能な超高温殺菌乳を凝乳できたが、カード収量は低かった。 2.チーズの初期物性:レンネットで作製したチーズと比べて、外観が緻密で食感も滑らかで香りは強かった。切りやすさなどは変わらなかった。 3.チーズの抗菌性試験:きのこ酵素で作製したチーズは熟成中に雑菌が繁殖せず、細菌、酵母およびカビに対する抗菌性を調べたところ、カビ類およびCandida酵母に強い抗菌性を示した。 4.凝乳酵素の特性:ヤマブシタケの酵素は超高温殺菌乳を凝乳できることおよび生成したホエイ中の蛋白質の分析を行った。、従来のレンネットには見いだされない性質が確認された。凝乳酵素の分離精製については検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画において、凝乳酵素生産株の選抜と酵素生産法の最適化は計画通り進展した。選抜株を用いたチーズの作製は低温殺菌乳を中心として計画通りの結果が得られた。きのこ酵素で製造したチーズの初期物性の評価はほぼ達成することができた。大容量高速冷却遠心機の使用不能及び導入で研究が一時中断し、酵素の分離精製は検討中である。 平成28年度に計画されているチーズの抗菌性試験の一部をチーズの熟成過程と並行しながら研究を進めることができた。また平成29年度に計画されているホエイ成分分析の一部試験も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
きのこ酵素で製造したチーズの抗菌性試験を実施する。平成27年度に抗菌性試験の一部を遂行した結果をもとに、抗菌性の特徴を明らかにする。さらに子菌性の発現状況についても明らかにする。酵素の分離精製は引き続き検討する。カード生成過程における凝乳状態のモニタリングおよびチーズの特性を検討する。またカード生成過程で生ずるホエイ成分の分析を行う。
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