2016 Fiscal Year Research-status Report
大腸ALP及びβ-グルコシダーゼの新規生理的意義と食品因子による制御作用の解明
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15K00836
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 由佳子 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80433415)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大腸ALP活性 / ALP遺伝子 / 腸内環境 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
1.水溶性食物繊維の高粘度および低粘度グルコマンナンが高脂肪食摂取ラットの大腸ALP活性に及ぼす影響を,ALPのタイプと遺伝子発現に着目して検討した。4週齢のSD系雄ラットに,高脂肪(30% Lard)の5%セルロース食を基本食として,高粘度グルコマンナンと低粘度グルコマンナンをセルロースに置き換えて4%添加した飼料を与え,14日間飼育した。その結果,大腸ALP活性は,高粘度および低粘度グルコマンナンの摂取により有意に増加した。各種阻害剤を用いた検討から,大腸ALPのタイプは小腸型のALPであることが示された。また,大腸におけるALP遺伝子発現の解析を行った結果,小腸上部由来のAkp3および骨,肝臓,腎臓由来のAlplの発現は,グルコマンナン摂取による影響を受けなかったが,小腸全域に局在するIAP-Iの発現が,高粘度および低粘度グルコマンナン摂取により有意に増加することが新たに見出された。以上の結果より,グルコマンナン摂取による大腸ALP活性の増加には,IAP-I遺伝子発現の誘導が関与していると推定した。血清カルシウム含量,中性脂肪量およびコレステロール含量は,本実験条件による影響を受けなかった。
2.水溶性食物繊維が通常食摂取ラットの大腸ALP活性に及ぼす影響について検討を加えた。通常食(7%大豆油)を基本食として,高粘度グルコマンナン,低粘度グルコマンナン,ペクチン,イヌリンをセルロースに置き換えて4%添加した飼料を14日間与えた。その結果,高粘度グルコマンナンとペクチン摂取により大腸ALP活性の若干の増加がみられたが,他の水溶性食物繊維による影響は認められなかった。また,大腸のALP遺伝子については本実験条件による影響を受けなかった。これらの結果から,水溶性食物繊維は,通常食よりも特に高脂肪食の栄養条件下で大腸ALP活性と遺伝子発現に影響を与える可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画に沿って,水溶性食物繊維の大腸ALP活性への影響について検討することができたため。当該年度の研究において,水溶性食物繊維のグルコマンナン摂取による大腸ALP活性の増加は,主に小腸型ALPの増加によるものであることが認められた。大腸ALP遺伝子の発現解析から,グルコマンナンは小腸全域に局在するIAP-I遺伝子の発現誘導を介して大腸ALP活性を増加させている可能性が新たに見出された(論文投稿中)。 また,水溶性食物繊維による大腸ALP活性と遺伝子発現への影響は,通常食よりも高脂肪食の栄養条件下で顕著であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,食品因子の大腸ALP活性誘導作用への影響について検討を加える。前年度までの研究で,水溶性食物繊維が高脂肪食摂取ラットの大腸ALP活性を上昇させることに加え,腸管バリア機能の指標であるmucinや,腸管免疫機能の指標であるIgAと大腸ALP活性との間には,有意な正の相関関係があることを示してきた。今年度は, MucinとIgAの増加作用が報告されている難消化性オリゴ糖も,水溶性食物繊維と同様に,大腸ALP活性と遺伝子発現に影響を与えるのかどうかについて検討を加える。実験動物としてSD系雄ラットを用い,高脂肪(30% Lard)の5%セルロース食を基本食として,フルクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などの数種のオリゴ糖をセルロースに置き換えて4%添加した飼料を与え,数週間飼育する。糞,大腸,小腸(十二指腸,空腸,回腸),肝臓,血清のALP活性を測定する。また,大腸と小腸のALP遺伝子(IAP-I, Akp3, Alpl)発現の解析(RT-PCR法)を行う。腸管mucin,IgA量の測定およびmucin遺伝子発現と腸内細菌叢の解析を行い,これらの因子と大腸ALPとの関連性を検討する。さらに,糞中β-グルコシダーゼ活性への影響についても併せて検討を加える。
また,前年度に引き続き,疾病モデルとして食事誘発性肥満ラットを用い,食品因子による大腸ALP活性への影響を検討する。動物実験において,小腸ALPがメタボリックシンドロームの予防に関与する可能性が指摘されている。今年度は,腸管の脂質代謝関連遺伝子の発現解析を行い,食品因子による大腸ALP活性の誘導と脂質代謝との関連性を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の計画に沿って直接経費を使用した結果,少額(2,200円)が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度助成金と合わせ,試薬・キット類等の消耗品の購入に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)