2015 Fiscal Year Research-status Report
低栄養性脂肪肝の治療と予防を目的とした新しい血液マーカーの開発と臨床応用
Project/Area Number |
15K00849
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
岩本 淳一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10384950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 低栄養 / 脂肪酸代謝 / アミノ酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来あまり研究されてこなかった低栄養時の脂肪肝に着目し,1)発症メカニズム解明のための新しい血液マーカーの開発,2)それによる脂肪肝の病態再分類,さらに,3)病態ごとの最適な栄養管理方法の確立を目指す。 平成27年度は,糖・脂質・アミノ酸代謝に関連する新規血清マーカー測定法の開発を行った。今回新たに開発したものは,アミノ酸(バリン)の異化マーカーである3-ヒドロキシイソ酪酸,同じくアミノ酸(ロイシン)の異化マーカーである3-ヒドロキシメチル酪酸,脂肪酸合成のマーカーであるマロン酸,肝臓での脂肪酸β酸化(異化)のマーカーである3-ヒドロキシ酪酸,筋肉での脂肪酸β酸化(異化)のマーカーであるアセチルカルニチンである。アセトニトリルによる除蛋白によって,簡単にLC-MS/MS分析の前処理を行うことができたが,これらの物質をピコリン酸で誘導体化してLC-MS/MSで分析することによって,非常に分析感度が上昇し,血清のみならず,唾液での定量も可能になった。血清と唾液のこれら物質の濃度には,有意な正の相関を認めたことから,将来的には血液ではなく唾液を用いた代謝評価の可能性が示唆された。 また,来年度以降の準備として,脂肪肝を中心とした,各種消化器疾患患者の血清収集を開始した。さらに,培養肝細胞に脂肪肝を再現させる試みとして,核内レセプターLiver X receptor (LXR)の活性化(リガンドの添加)によって,脂肪酸合成を亢進させたモデル細胞を,マウスのAML12培養肝細胞系を用いて作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた血清マーカーの分析方法をほぼ確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,脂肪肝患者を含む各種消化器疾患患者の血清を収集し,これまでに開発した栄養・代謝マーカーを測定する。また,血清マーカーを用いた脂肪肝の病態別分類を行う。 一方,低栄養時の脂肪肝発症を,培養肝細胞系を用いて再現させるために,低栄養時の脂肪肝患者に認められた異常な代謝病態を引き起こす物質(酵素やトランスポーターの促進剤または阻害剤,サイトカイン等)の情報を収集する。
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Causes of Carryover |
注文した試薬の国内在庫がなく,納品が平成28年度になってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額分は,試薬の納品を待って請求予定である。 平成28年度の直接経費は,栄養・代謝マーカーのLC-MS/MS分析のための消耗品購入に使用するほか,細胞培養の消耗品,酵素やトランスポーターの促進剤,阻害剤,サイトカイン等の購入に使用する。
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Research Products
(3 results)