2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00953
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
塚本 公秀 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30155337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教材製作 / 学生 / 3D-CAD / 3D-プリンタ / CAE |
Outline of Annual Research Achievements |
高専の2年生で実施している4輪バギー(ATV)分解組立実習で取り扱う4輪車に組み込まれている機構の動作原理学習を目的とした教材開発を、卒業研究の一環として教員との共同によって製作した。昨年度製作した油圧システム理解のためのブレーキの機構教材を、学生のさらなる改良で、てこの原理とパスカルの原理で制動力が増倍される仕組みが容易に理解できるものにした。さらに実習では分解できないクラッチ内部について、どのようにクラッチが繋がるかが理解できるように遠心クラッチの動作原理ができるようにユーザーがハンドルを回して動作を確認できる教材を開発した。また、同じく分解できないものとしてサスペンションがある。そこでサスペンションの構造がわかる教材製作を学生と行った。学生からラジコンカーのパーツを転用する提案があった。そこでラジコンパーツのバネとダンパを交換することで、サスペンションが振動を減衰させる状況を確認できる教材の製作を行った。さらに振動の状態をパソコンのモニター上に表示できるように改良した。 製作は設計は3D-CADを用いてプロダクトモデルを製作し、これに運動解析、応力解析を行うことで部品の材料を変更した。このようにモデルの評価を行った後、デジタルファブりケーション(3Dプリンター、レーザー加工機、ワイヤカット放電加工機)にて製作を行った。 この教材を通して、ATV分解組み立て実習が非常に多くの専門科目との関連を含んでおり、実習自体が高学年での学習の予習に役立つことが明らかとなった。 これらの成果は国際ワークショップや国際会議にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した日本で購入できない授業用教材の購入に関しては本研究での製作が進んでいるため本年度も行わなかった。 学生視点での教材の共同開発は、高専5年生の卒業研究として実施しており、開発を順調に行っている。学生との共同開発環境に関しては、平成27年度に3D-CADによるプロダクトモデルの静解析の方法と環境を確立した。 共同開発方法は学生が分解組み立て実習を観察し、実習学生の理解度を推測し、教員の説明では理解が困難である点を自らの経験と実習生から直接聞き取り調査を行う。これらの調査の上で授業を受ける学生の理解を助けるための教材開発を企画設計し、製作を試みる方法で行っている。 製作された教材に付いてては、日本工学教育協会講演会にて講演発表を行った。また、共同開発教材の中で、サスペンションの構造がわかる教材では振動の減衰過程をパソコンに表示する副教材ができた。これについては開発した学生自身が国際セミナーにて講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は有用な教材の開発ができた。学生との共同での教材開発を進めたことで、製作品が学生の興味を惹く教材であることも試用して明らかとなった。 専門科目の授業で学習する項目の基礎原理を視認できたり、動作状態を経験したりと、学生が理解できたと自覚できるような教材の製作を試みる。平成28年度に製作したサスペンションの動作を表示できる教材は、機械力学だけでなく、制御工学で学習するシステムの振動と減衰の学習に有用であると他の教員からも評価された。また、物理学で学習した単振動や減衰振動が学生自身の目で確認できることや、実際にサスペンションとして技術の世界で重要な機構であることを再認識させることができた。 この点に着目し、次年度には実習教材だけでなくさらに専門教科の教材へと展開し、高学年での学習に有用な教材開発も試みる。引き続き学生の視点に立った教材製作を試みる。
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Causes of Carryover |
初年度に必要設備が整い本年度に能力の高いパソコンを導入したことで開発環境が整ったことから、新しい教材開発に傾注した。 安価で教材が製作できることが本開発の目的のひとつでもあることから材料費を抑制したこと。またCAEの技術導入で試作が減り、材料の無駄もなかったことなどから材料購入費を安くできた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この教材製作を通して、ATV分解組み立て実習が多くの専門科目との関連を含んでおり、開発された教材が専門教科の授業でも使用できることが明らかになったので、実習教材だけでなく対象を広げて高学年での学習に有用な教材開発も行う。
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Research Products
(7 results)