2015 Fiscal Year Research-status Report
理科が役に立つことを実感でき教員養成に有効な化学実験教材(含英語版)の開発と実践
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15K00973
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
戸谷 義明 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30180186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実験・観察 / 科学教育 / 生活に役立つ理科 / 化学実験教材(日本語英語版) / 出前化学実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
TIMSS2011の小中学生への質問紙調査だけでなく,最近の日米中韓の高校生の意識調査からも,日本の高校生は科学への関心は最低で,理科の学習は社会に出たら役に立たないと認識する児童・生徒が多いようである。この現状の打開策として,申請者は,理科教員養成の教育として行う出前化学実験の実践で蓄積された成果を背景に,身の回りや身近な事柄と結びついた内容で,理科が役に立つことを実感できる化学(科学)実験教材と指導法(観察参加型,個別指導体験型)を開発してきた。本研究では,主に身近な食品関係の個別指導体験型の実験法の開発・実践を継続するとともに,理科教員のための英語教育も兼ね,観察参加型の化学マジック実験の英語による演示法を開発・実践し,マニュアルを英語の実験集として完成させることを目的とし,研究に着手した. まず,手始めに化学マジック「自動虹色変色」(塩化第三ブチルの分解で生成する塩酸によるpHの変化)を申請者自身が英語で演示することにした.PowerPointプレゼンテーションを英語化し,附属名古屋中学校の帰国学級生徒を対象に予行演習を行って改良した後,7月に東京の日本科学未来館で開催されたNICE2015のワークショップに出展した.本番の発表は極めて好評であり,研究推進への手応えを感じることができた. 食品関係の個別指導体験型の実験法としては「水あめ作り」を実践により,ほぼ完成させたほか,「ミカンの薄皮剥き」,「アルギン酸ビーズ」の検討を行った.「ミカンの薄皮剥き」については,確立した条件で2016年度に実践を行う予定である. 化学マジックについては「時間差瞬間着色」(ヨウ素時計反応),「振盪色変化の中瓶四姉妹」(インジゴカルミンの信号反応など,色素の酸化還元による変色)の実験法の改良を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年3月まで愛知教育大学附属名古屋中学校校長を兼務したため,帰国生徒学級との連携は順調に行うことができ,国際学会NICE2015の発表も好評であったが,校長としての多忙な業務のため,化学マジックのプレゼンテーションの英語化を,1つしか完成することができなかった. 身近な化学実験教材の開発は食品系では「水あめ」,「アルギン酸ビーズ」,「ミカンの薄皮剥き」などの開発が進み,化学マジックについても「時間差瞬間着色」,「振盪色変化の中瓶四姉妹」などの実験法の改良が順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
プレゼンテーションと実験集の英語化については,附属名古屋中学校の帰国生徒学級との連携を継続するとともに,英語の専門家の助言を受ける.また,引退した米国の天然物化学の日本人の研究者(申請者の過去の留学先)が申請者の研究に興味を示していただいており,現在,内容を説明し,協力を依頼している.昨年度,学生は導入の英語の歌を演示したのみであったが,今年度は少なくとも昨年申請者が演示した実験については学生による実験演示ができるようにしたい.さらに,インターナショナル・スクールと実践の受入と研究への協力を交渉したい. 身近な化学実験教材の開発については,食品系でミカンの薄皮剥きなどの初めての実践を行い,開発した実験指導法を評価する.アルギン酸ビーズについてもこれまで行ってきた検討を,さらに進めていきたい.化学マジックでは,インジゴカルミンの信号反応など,改良した方法で実践を行い,実験法の精度を上げる.
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Causes of Carryover |
附属中学校の校長職を兼務したため,プレゼンテーションと実験集の英語化が若干遅れていることにより,英語化関係の謝金の支出が行われていない.また,実践の回数が少なく,A3スキャナ,化学実験・教材関係図書(洋書含)が未購入であり,プリンタの消耗品も今年度は購入しなかったので,物品費の支出が少なくなっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プリンタ関係の消耗品は現在,早急に入手する必要がある状態である.プレゼンテーションと実験集の英語化を進めるので,英語のチェックのため,謝金が必要になる.英語の実験集を作成するため,見本となる,特に洋書の化学実験・教材関係図書を早急に入手する予定である.A3スキャナは再検討中である.また,実践の回数は2015年度より多くなる予定であり,物品費,及び謝金が必要となる.
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