2015 Fiscal Year Research-status Report
声の見える化技法を応用した教師支援ツールの開発とその指導法の構築
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15K01022
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 京子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60283222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40433198)
香山 瑞恵 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (70233989)
東原 義訓 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90143172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 声楽 / 歌唱 / 歌唱指導 / 発声指導 / シンガーズフォルマント / SFR / 見える化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において取得・分析した歌声に対して、ピッチ、FFTスペクトル、LPCスペクトルの観点から、声の出し方の違いによる音響特徴量を解析し、その違いを明らかにしてきた。その結果、良い声、浅い声、のど詰め声といった声楽発声指導で用いられる声の出し方ではFFTスペクトルにおける違いが、最も大きいことが判明した。この音響特徴量は視覚的にその違いを示し易いため、本システムの開発の基礎とした。 音高や言葉などの実験内容を様々に変化させ、声の出し方の違いが音響特徴量に及ぼす影響について詳しく調べた。 音色に関する情報として、FFTスペクトルによる倍音構造、LPCケプストラム曲線によるシンガーズフォルマントに着目し、音楽科学生を対象として、歌声データを数多く取得するとともに、経年での変化を見た。すなわち、初学者が勉強を開始してから、1年目、2年目でどのように変化するかをグループで追った。また,複数のプロの声楽家(女声・男声)において、その歌声に必ずシンガーズフォルマントが現れるのか、どの周波数領域に顕著に表れるか等を検証した。 そしてそれらを解析し、母音ごとに比較することで、歌唱として歌いやすい母音[a]や[o]と、響きを失いやすい他の母音とで、シンガーズフォルマントに違いが見られるか、また倍音含有率についても調べ、比較検討を図った。 ここで得られた知見を踏まえて、本ツールのプロトコルを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歌声を見える化するにあたり、FFTスペクトルによる倍音構造、LPCケプストラム曲線によるシンガーズフォルマント等の情報を、実時間で見ることのできるツールのプロトコルを開発することができた。 また今年度は、複数のプロの声楽家の協力が得られたので、プロ歌手の歌声を分析することができた。これにより、本ツールの開発に弾みがついた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続すると共に、以下のことを実施する。 音響分析の結果は歌声合成や歌声検索などに応用されていることが多いが、音響分析の結果が歌唱の教育場面へと応用されているといった事例は少ない。 そこで本研究では、音響分析の結果を応用し、音響特徴量を可視化し歌唱者の発声法の向上の助けとなるようなシステムの構築を目指している。そのために、習熟度の異なる歌唱者の歌声の心理的印象と音響特徴量との対応付けや、歌唱指導に必要な音響特徴量の検討を引き続き行う。 今後は、習熟度の異なる歌唱者の歌声の心理的印象評価実験を行い、音響特徴量との関連について調べ、次に、声楽の未経験者に対して声楽発声指導者より短時間の発声指導を行う。指導前後における音響特徴量の変化についても明らかにする。また、初学者に対する声楽発声指導への応用の可能性について考察する。さらにこれまで開発してきた「声の見える化技法」を応用して、必ずしも声楽を専門としない学校教育現場の教員や、教員養成学部の学生たちが、効率的且つ適切な歌唱指導や学習を行えるように支援するソフトウェアを開発し、それを用いた指導法を構築していく。
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Causes of Carryover |
購入予定の研究書が絶版となっていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H.28年度請求額と合わせて学会発表(旅費等)に使用する予定。
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Research Products
(7 results)