2015 Fiscal Year Research-status Report
欧州のソーシャルイノベーション政策による持続可能社会システム構築のための調査研究
Project/Area Number |
15K01214
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
大石 尚子 龍谷大学, その他部局等, 准教授 (20725361)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ソーシャル・イノベーション / エコシステム / EU政策 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2011年にスタートしたEU(欧州連合)の包括的戦略的SI政策(SIE)の全容を明らかにした上で、地域社会の課題の解決に資するSIを醸成する「エコシステム」について考察し、そのモデルを提示し、最終的にはその成果を日本の地域社会におけるSIの醸成に活かすことを目標とする。平成27年度は、北欧・南欧諸国のSIの実態を把握し、両者の相違点とSIEとの関係性を明らかにすることを目的に訪問調査を行った。訪問先は、SIEの一環として設置されたSI拠点であるTransitionとした。またモデルの実証実験の候補地京都府北部地域への調査を行った。 北欧調査対象国は、イノベーション評価指数で上位のフィンランドとし、タンペレ市にあるTransitionあ産官学民協働のインキュベーションセンター「NEW FACTORY」と学生と企業とのプラットフォーム「Demola」を訪問し、Demolaセンター長にヒアリング調査を行った。また、New Factoryで行われていた企業によるプロジェクト・プレゼンテーションに参加した。南欧調査対象国としては、イノベーション評価指数の下位に位置するイタリアとし、Transitionが置かれているミラノ工科大学・DESIS(Design for Social Innovation and Sustainability)と、Impact Hub(SI育成の民間インキュベーション・ネットワーク)へ訪問ヒアリング調査を行った。DESISはSIの企画・プロセスデザインを進める国際デザインネットワーク拠点としても機能しており、SIのプロセスデザインを学生と共に開発している。両者の相違で明白なのは、フィンランドでは技術イノベーションに重点を置いているのに対し、産業界との結びつきが強いのに対して、イタリアでは社会課題解決に向けた活動推進の環境整備に力点が置かれている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査について、当初予定していた地域、機関を予定通り訪問調査することができた。ただし、平成27年にミラノ万博が開催されることとなり、筆者の調査対象とする活動団体が参加していることと、SIの進捗の視察を行うため、平成27年に訪問予定であった欧州委員会のSIE担当部署については、平成28年に訪問することとし、先に南欧であるイタリア。ミラノのSI拠点を訪問調査することとなった。 また、研究会の開催については、海外研究者を招聘して開催する予定であったが、海外研究者の一身上の都合により急きょ取りやめなければならなくなり、平成28年度に持ち越すこととなった。 これまでの調査実績については、筆者が所属している研究センターにおける研究会において報告し、研究協力者からの批評、アドバイスを得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請した研究計画に基づいて進められるよう、以下の通りの方策を取る。 ・研究協力者との研究会を開催し、調査報告を行い次年度に向けて研究計画を検討する。 ・モデル移転の対象地である京都府北部地域において自治体・民間団体・大学との協働で進めている次世代の教育システム開発を検討する研究会において、調査結果を報告し、SI醸成のエコシステム構築のためにできる具体的施策について検討する。 ・海外より研究者を招聘し、日本におけるSIの実態調査を行うとともに、研究会を開催して欧州との比較研究を行う。 ・上記の取組を推進するため、協力研究者とのミーティングを定期的に行い、常に研究の方向性の妥当性を確認する。
|
Causes of Carryover |
海外から研究者を招聘し、日本におけるSI実態調査と研究会を開催する予定であったが、当該招聘者の一身上の都合により、来日が不可能となったため、計画を実施することができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の海外招聘者との共同研究を今年度実施する。
|