2018 Fiscal Year Annual Research Report
research for the developmet of a sustainable society system through the european social innovation policy
Project/Area Number |
15K01214
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
大石 尚子 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (20725361)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャル・イノベーション / EU政策 / 地域再生 / 農業・農村政策 / フードシステム / 田園回帰 / 若者雇用 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧州連合(以下EU)におけるソーシャル・イノベーション(以下SI)政策展開は全分野にまたがっており、当該研究期間内で全分野のSI政策を体系化することは不可能だったことから、EUで最重要課題の一つとされている食農分野(フードシステム)に焦点を置き研究を進めた。食農・農村再生のためのSI醸成エコシステムを研究する上で、特に若者起業への支援政策を中心に、欧州、国家、州、地域に渡ってマルチレベルの調査研究を進めた。 欧州レベルの調査では、SI推進財団、EU機関の会議への参加、技術イノベーション推進機関への訪問調査を行った。国は、食農問題への取組でEUをリードし、また、日本との地域的類似性もあるイタリアに焦点を当て、地域としては、農業地帯のプーリア州のPSR政策について、文献調査、現地調査を行った。また、イタリアの大学にて空間・都市計画・社会学等の研究者・実践者へのヒアリング、研究会を実施。また国家政策の実務についてはISMEA(農業研究機関)へのヒアリング調査を行った。地域レベルでは、LEADERプログラムや地理的表示保護制度の取り組み事例から優良事例を抽出し、各地域の地域再生の担い手であるlocal action group、農協等の地域組織団体への視察・インタビューを行った。 研究成果として、最終年度では、EUから地域レベルにわたる食農を軸とした地域再生政策についての全容を把握することができた。特に、若者の田園回帰現象をうまく救い上げる形での若者就農支援政策は、効果的に機能している。ただし、補助金供給の仕組みについて、システム的課題があることが分かった。 国際会議での発表・論文投稿、トリノの複数大学と龍谷大学との国際会議において日本と欧州のInner AreasにおけるSIについて研究会議を行うことができた。今後は、イタリアの複数大学との共同研究・学生交流を進めていく予定である。
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