2015 Fiscal Year Research-status Report
風荷重に対する建物に隣接した墜落防護工法の安全技術に関する研究
Project/Area Number |
15K01238
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
高橋 弘樹 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (90342617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大幢 勝利 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, その他 (50358420)
大垣 賀津雄 ものつくり大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80740943)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 労働災害 / 墜落防止 / わく組足場 / 幅木 / 風力 / 併設建物 / 風洞実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
足場からの墜落災害の安全基準が再検討され、平成21年3月に労働安全衛生規則が改正された。この改正により、新たに墜落防止用のさんや幅木等を足場に設置することが義務付けられた。本研究は、風による足場の倒壊防止のため、規則改正後の幅木等を設置した足場に作用する風力を検討し、風荷重に対する規則改正後の足場の安全技術を検討することを目的として行った。筆者らはこれまで、幅木を設置した単体の足場を対象として風洞実験を行い、幅木を設置した足場の風力に関する係数の計算方法を検討した。しかし、実際の建設工事では、足場は建物等に併設されることが多い。 平成27年度は、建物の風上側に併設された足場の風力に及ぼす幅木の高さの影響を風洞実験により検討した。 実験に用いた足場は、建設工事で一般的に用いられている枠幅900mmのわく組足場である。模型の縮尺は1/10であり、足場は風力の計測装置にのる大きさ等を考慮して3層1スパンとした。実験は、足場を建物の風上側に併設し、幅木の高さ及び建物と足場の間隔をパラメータとして行った。 実験の結果、足場単体の場合の足場の風力係数と幅木の高さ率の関係はほぼ比例であったが、構造物と足場の間隔が狭くなるほど足場の風力係数と幅木の高さ率の関係の非線形性が強くなり、幅木の高さ率が高いほど急勾配になることが分かった。更にこれらの結果より、幅木を設置した足場を建物の風上側に併設した場合の風力の補正方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に進展していると考える。その理由は、以下のとおりである。 1.風洞実験により建物の風上側に併設された足場の風力に及ぼす幅木の高さの影響及び建物と足場の間隔の関係について確かめることができた。足場単体の場合の足場の風力係数と幅木の高さ率の関係はほぼ比例であったが、構造物と足場の間隔が狭くなるほど足場の風力係数と幅木の高さ率の関係の非線形性が強くなることが分かった。 2.実験結果より、幅木を設置した足場を建物の風上側に併設した場合の風力の補正方法を検討し、実務において使用可能なものを示した。 3.これらの研究成果は、平成28年度土木学会全国大会、ASEA-SEC-3等において、発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、風の流れが乱れる建物の隅角部に足場を併設した場合の風力について、風洞実験により検討する。実験のパラメータは、幅木の高さ及び建物からの足場の張出位置とする。可能であれば、建物の隅角部に足場を併設した場合の風力の補正係数を検討する。 平成29年度は、足場を建物の風下側に設置した場合の風力について、風洞実験により検討する。実験のパラメータは、幅木の高さ及び建物と足場の間隔とする。
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Causes of Carryover |
風洞実験に使用する模型制作の業者を選定する際に、3社から相見積をとり、その中の最も安い業者に発注した。相見積をとり、予定よりも模型制作費が安くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
風洞実験に使用する足場模型の形状の簡略化を検討しており、昨年度使用した足場模型の形状を簡略した模型を制作する費用に使用する。
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