2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01263
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山本 吉道 東海大学, 工学部, 教授 (70366087)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 津波洗掘対策 / 高波洗掘対策 / 裏込め材吸出し / 海岸侵食 / 地球温暖化 / 海岸災害事例 / 吸出し実験 / 吸出し予測法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の津波による洗掘対策法の研究に関しては、科研費の採択通知を10月に貰い、11月から本格開始したため、自治体訪問、現地聞込み、既往文献の追加・整理と、津波被害再現実験用模型準備までで終わってしまった。
2015年度の高波による洗掘・吸出し対策法の研究に関しては、海岸侵食が全国的に進んでおり、台風が毎年来襲する我が国において、海岸保全環境の地球温暖化による一層の悪化も懸念されているため、科研費に採択されなくても実施するつもりであったことから、2015年度5月より開始しており、成果は次のとおりである。 高波による堤防前面の洗掘や堤体からの吸出しに関する被災事例を、過去の収集済みデータに加えて、タイ国での現地踏査、我が国での地方自治体や既往文献から追加入手し整理した。また、裏込め材の中央粒径、均等係数や乾燥密度(締固めの程度)の違いによる効果を知るため、これらのパラメータを変えた堤体からの吸出し模型実験も追加実施し、それらのデータを分析することによって吸出し量算定式の改良も試みた。さらに、改良された吸出し量算定式などを用いて、開発済みの洗掘量や吸出し量の数値予測モデルの改良を試みた。 以上の成果を、海洋極地工学国際学会(ISOPE)の本年6月の国際会議で発表予定(3月に採択決定)、土木学会論文集B3(海洋開発部門)の論文として本年8月頃に公開予定(4月に掲載決定)、また、土木学会論文集B2(海岸工学部門)にも応募し、第1次査読(4月)を通過したので、概要版が公開される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の津波による洗掘対策法の研究に関しては、科研費の採択通知を10月に貰い、11月から本格開始したため、自治体訪問、現地聞込み、既往文献の追加・整理と、津波被害再現実験用模型準備までで終わってしまったが、本テーマは喫緊の課題であるため、本格的実験を2016年度早々に実施し、遅れを取り戻すつもりである。
2015年度の高波による洗掘・吸出し対策法の研究に関しては、科研費に採択されなくても実施するつもりであったことから、2015年度5月より開始しており、十分過ぎる成果を出している。洗掘・吸出し被災データの補充は、我が国の地方自治体や既往文献から、さらに、タイ国での現地踏査も加えて実施し整理した。また、裏込め材の中央粒径や均等係数の違いに加えて、乾燥密度の違いによる効果も、これらのパラメータを変えた吸出し模型実験から確認し、吸出し量算定式の改良を試みた。さらに、改良された吸出し量算定式などを用いて、開発済みの洗掘量や吸出し量の数値予測モデルの改良も試み、3次元ひな形モデルの開発まで漕ぎ着けた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)津波対策施設の計画・設計法の開発:まず、データ不足に対して、新年度早々から実験などを精力的に実施し、それらの分析から洗掘量算定式などの改良完了を目指す。また、2015年度に構築した、広範囲・小格子間隔での高速数値計算用ワークステーションを活用して、開発済みの津波浸水・洗掘予測数値モデルをベースに、堤防転倒・滑りや、洗掘を考慮しながら、各種対策工による浸水低減効果を評価できる数値モデル開発の完了を目指す。そして、前年度収集データに静岡県等での情報を追加収集して整理し、それらから得られる知見と改良した数値モデルを活かして、具体的な津波堤防建設計画が進んでいる静岡県と宮城県を対象に、具体的な防護施設計画(砂丘堤や傾斜堤防、避難マウンド、海岸林、道路網、河川網、掘り等の組合せ)の効果評価を試み、立案・評価法を整理・公表する。 2)高波による洗掘・吸出し対策法の開発:まず、前年度研究で不足したデータを、補足実験実施などによって補充し、それらのデータも分析することによって吸出し量算定式の改良を完了する。また、三次元数値計算のためにワークステーションによる高速計算システムを構築する。さらに、新たな吸出し量算定式などを用いて、洗掘量や吸出し量の数値予測モデルの改良を完了させる。そして、上記の被災データから得られる知見と、改良された数値予測モデルを活用して、効果的な洗掘・吸出し対策法について検討し、その結果を公表する。
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Causes of Carryover |
業者の不手際によって、ワークステーションとフォートラン・コンパイラーの納入が大幅に遅れたため、この業者がコンパイラー購入費を減額してくれたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由から生じた数値計算の遅れを取り戻すため、2016年度購入予定のコンパイラーをより性能の良いもの(次年度使用額相当)に変える。
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