2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01263
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山本 吉道 東海大学, 工学部, 教授 (70366087)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 津波対策 / 洗堀 / 掃流砂量係数 / 被害予測数値モデル / 高波対策 / 吸出し / 吸出し量算定式 / 洗堀・吸出し予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.津波対策施設の計画・設計法 まず、掃流砂量算定式の係数は海岸毎に検証計算を行って決定する必要があるが、この係数を底質に関わる条件を与えるだけで求められる算定式の提案を目指して、底質の均等係数(粒径のばらつきを表す)と乾燥密度(締固めの程度を表す)を変えた移動床実験を行い、本係数と均等係数や乾燥密度との関係をある程度明らかにした。次に、ワークステーションを用いた高速計算環境を整備し、洗掘を考慮しながら各種対策工による浸水低減効果を評価できるように、津波浸水・洗掘予測数値モデルを改良した。そして、具体的な津波対策計画が進んでいる宮城県岩沼市を対象に、具体的な防護施設計画(粘り強い堤防堤防、避難マウンド、海岸林、掘り等の組合せ)の効果評価を試み、施設計画の改良を目指した検討を行った。
2.高波による洗堀・吸出し対策法 まず、堤防・護岸からの裏込め材の吸出し量算定式の精度向上を目指して、裏込め材の均等係数や乾燥密度を変えた吸出し実験を行い、これらの影響を精度良く考慮できる算定式を提案した。さらに、入射波の周期と堤体前面水深を変えた吸出し実験も行い、吸出し量と波形勾配や前面水深との関係もある程度明らかにした。次に、時々刻々の吸出し量変化を予測できるようにするため、ワークステーションを用いた吸出し量数値予測モデルを構築し、実験データや現地実測データとの比較から、吸出し量予測精度の向上を図った。また、既発表の前面洗堀予測法の現地海岸への適用を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.津波対策施設の計画・設計法 まず、掃流砂量算定式の係数を決定できる算定式の提案を目指して、底質の均等係数と乾燥密度を変えた移動床実験を行い、均等係数と乾燥密度を大きくするほど、本係数が小さくなることを明らかにした。次に、ワークステーションを用いた高速計算環境を整備し、洗掘を考慮しながら各種対策工による浸水低減効果を評価できるように、津波浸水・洗掘予測数値モデルを改良できた。そして、具体的な津波対策計画が進んでいる宮城県岩沼市を対象に、具体的な防護施設計画の効果評価を試み、施設計画の改良案を提案できた。現在、これらの成果を発表すべく論文としてまとめつつある。津波関係の進捗状況は、論文発表が遅れている分、当初予定より若干遅れ気味である。 2.高波による洗堀・吸出し対策法 まず、裏込め材の中央粒径だけでなく、均等係数や乾燥密度の影響も精度良く考慮できる吸出し量算定式を提案した。次に、任意形状の堤防や護岸からの吸出し量経時変化を予測できる、ワークステーションを用いた吸出し量数値予測モデルを構築し、実験データや現地実測データとの比較から、吸出し量予測精度の向上を図った。これらの成果を第26回ISOPE国際会議プロシーディングと土木学会論文集B2Vol.72No.2で発表した。また、ISOPEジャーナルに投稿中である。さらに、精度向上を図った前面洗堀予測法を用いてタイ国Khlong Wan海岸での検討成果を土木学会論文集B3Vol.72No.2で発表した。また、タイ国Chumphon海岸での検討成果を土木学会論文集B2Vol.73に投稿中である。高波関係の進捗状況は、当初予定より進んでいる。 以上から、総合的な進捗状況は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.津波対策施設の計画・設計法 津波関係の研究はやや遅れ気味なので、研究スタッフを大幅増員して、移動床実験を優先的に遂行することで、掃流砂量算定式の本係数と底質粒径、均等係数、乾燥密度との関係を明らかにし、掃流砂量算定式の係数決定式を提案する。そして、収集した既往文献データを用いた検証計算で計算精度を確認する。次に、ワークステーションを用いた津波浸水・洗掘予測数値モデルを用い、津波対策計画が進んでいる宮城県岩沼市だけでなく、静岡県浜松市などを対象に、具体的な防護施設計画の効果評価を試み、改良案を提案する。
2.高波による洗堀・吸出し対策法 堤体からの吸出し実験を継続的に実施して、裏込め材の属性だけでなく、入射波の波形勾配や前面水深の違いが及ぼす影響を精度良く考慮できる吸出し量算定式を提案する。次に、ワークステーションとCADMAS SURFを用いて、前面がコンクリート完全被覆であるが、形状に多様性を持たせた提体からの吸出し経過を精度良く予測できる三次元数値計算のための高速計算システムを構築する。そして、効果的な洗掘・吸出し対策法について検討し、その結果を公表する。
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