2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K01370
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
白山 靖彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (40434542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 志津子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 講師 (10350927)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (30253462)
井本 逸勢 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30258610)
永廣 信治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (60145315)
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (90193432)
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (90243708)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 意思決定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,最終目標である定式化された意思決定支援の介入研究を行うため,診断基準に基づく高次脳機能障害者に対し,どのような項目が必要なのか,また,Mac-CAT11(意思決定能力指標)など,各指標の精度が,実際に適しているのかを検証した.対象は愛媛県松山リハビリテーション病院の外来患者4名と,医師,看護師,療法士,医療ソーシャルワーカーなど,複数の専門職種から聴き取りを行った.患者からの聴き取りについては,高次脳機能障害支援コーディネーター立会いの下,計画した指標ごとに各1時間程度面接を行った.さらにMMSEによって認知能力の測定を行った.また,FIMやその他個人属性については,本人同意のもとカルテを閲覧した.その結果,高次脳機能障害者の病態は,非常に多様で,病識があっても,それがどのように意思決定能力に関連するかを明確に特定することができなかった.また,Mac-CAT11の精度については,医師が診断し,その内容を説明する場面と,コ・メディカルが検査・リハビリテーションを行う場合及び支援コーディネーターなどが地域社会サービスを用いて計画作成を行う場面とでは,それぞれの対応方法や方式の違いから,共通にその指標を用いることが困難であることが分かった.高次脳機能障害の問題は,最終的には医療的ケアを受けつつも地域・社会で適応することが重要であり,意思決定支援に関する場面設定が必要であることから,その検討に入ることとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,意思決定支援ツールの開発段階に入る予定であったが,介入研究にあたるプレ調査にて,根拠となる各指標から意思決定支援の定式化を図ることが高次脳機能障害の多様性から困難であることが判明し,研究の方向性(意思決定支援のプロセス解明に向けて)の修正を余儀なくされたことで進捗がやや遅れている.ただし,27年度に実施した高次脳機能障害者の意思決定支援定式化の重要性に関する根拠となる二つの調査結果については,複数の学会で発表し,すでに論文化(2016年度掲載,2017年度掲載予定)を果たしている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,意思決定支援ツール作成のため,意思決定支援の場面設定を固定化する.そのため,支援コーディネーターと高次脳機能障害者とが,就労可能性や福祉サービスの選択場面で,どのように意思決定を促し,決定していくプロセスを詳細に評価する.その方法としては,支援コーディネーターの面接場面に介入し,その内容すべてを逐語化して,対象の高次脳機能障害者の認知能力(MMSEなどで測定)と,意思決定支援促しのキーワードや質問形式を定量化する.それによって一定の場面において,定式化された意思決定支援の有用性を実証する.また,それを基にツールの項目立てを行い,分担研究者および協力者による検討会を実施し.内容妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
プレ調査結果に基づき,意思決定支援指標,場面設定の再考を求められたため,通常の臨地での介入機会が減少し,それに伴って旅費等の支出が当初より減額したのと,意思決定支援ツール100部程度の印刷をまだ行っていないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,意思決定支援の場面設定に基づいた臨地研究と,分析用統計ソフトの購入,シンポジウム・会議などの開催により,適切に使用する予定である.
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Research Products
(5 results)