2015 Fiscal Year Research-status Report
生活空間におけるロボットの愛着行動とロボットの長期受容を可能にする方法論の確立
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15K01479
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
新妻 実保子 中央大学, 理工学部, 准教授 (10548118)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソーシャルロボティクス / 人-ロボットコミュニケーション / 人-ロボットインタラクション / 長期的コミュニケーション / ノンバーバルコミュニケーション / 愛着行動 / 動物行動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,生活空間における愛着行動のモデル化に取り組んだ。日常生活環境での利用を考えたとき,先行研究で提案した愛着行動モデルは非常に限定的であった。そこで本研究では,日常生活環境に対応するために,以下の用件のもとに愛着行動モデルの再設計を行った。 a)人との愛着関係及び社会的関係と周辺環境状況に応じた振る舞いを可能にするための行動要因パラメータを導入する b)ストレス要因の計測と行動要因パラメータとしての統一的に表現する c) 人とロボットの関係を表す行動特性パラメータの更新メカニズムを導入する 一つ目の要件に対して,観察される犬の振る舞いから,人物それぞれにポジティブなストレスとネガティブなストレス要因があるといる。そのため,環境内に存在する人それぞれに対して,行動特性パラメータ(なつき度)及び「寂しさ」と「不安」の二つのストレス要因を行動要因パラメータとして設計した。なつき度と状況に応じて二つの行動要因パラメータを更新する。またこの行動要因パラメータの考え方は人だけでなくモノ(おもちゃやおやつ)にも拡張できる。二つ目の要件に対して,人とロボットの距離の変化及び人とロボットが離れている時間をストレス要因として計測し,それに基づいた行動要因パラメータ更新ルールを設計した。これにより,「人が部屋を出た」のようはイベント発生時にのみストレス要因が計測されるのではなく,常時計測し行動要因パラメータとして反映することが可能となる。三つ目の要件に対して,ロボットが直接対象を観察する直接的探索と他者の対するオーナーの振る舞いから対象を解釈する社会的参照を,ロボットのなつき度を更新するルールとして導入した。最後に,イベントの発生時だけでなく,逐次的な周辺環境状況の変化に応じてロボットが行動できるよう,行動要因パラメータに基づくロボットの行動生成モデルを設計し,ロボットの愛着行動モデルとして実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上の「研究実績の概要」に示したように日常生活環境に適用可能な愛着行動のモデル化はおおむね順調に進展している。さらに,動作表現としてロボットの移動軌跡の設計,及びロボットへの実装についても順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度にはロボットへの受容性の発生メカニズムを明らかにする課題に取り組む計画を立てている。これに対し,申請時には犬と人の関係を踏まえ「おもちゃ/おやつの有無」を愛着行動を引き出す要因として考えており,コミュニケーション時の実験条件として想定し,コミュニケーションの持続性や満足度を計測して,受容性発生のメカニズムについて検討することを考えていた。しかしながら,昨年度研究を進めてくるなかで,コミュニケーションの持続性や満足度という心理への影響は人からロボットへ,あるいはロボットから人への能動的な働きかけの有無やその多さのみでなく,そもそも人が前向きにロボットとコミュニケーションできるかどうかは,人のロボットに対する予測(期待)に大きく依存するのではないかと考えるに至った。そのため,今年度の計画(実験内容,取り組み方)を変更して研究を進めたいと考えている。具体的には,人がもつロボットへのメンタルモデルとロボットの有する機能に齟齬がある場合のコミュニケーションへの影響を評価したいと考えている。これはロボットへの受容性の発生メカニズムに大きく関係していると考えられるため,課題そのもの変更ではなくむしろ課題の解明にむけて研究を推進できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたデータ処理用の計算機及びビデオカメラを購入せずに研究を推進できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ処理用の計算機及びビデオカメラを今年度以降に購入する際に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)