2016 Fiscal Year Research-status Report
ストレッチングがもたらす糖尿病と動脈硬化症の予防効果の解明
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15K01639
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
永澤 健 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80390566)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレッチング / 運動療法 / 糖尿病予防 / 血糖値管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレッチングが血糖値の上昇を抑制するか調べるとともに酸化ストレスに及ぼす影響について検討した.運動習慣のない健常成人女性10名を対象に,糖負荷試験前にストレッチ運動を30分間実施する条件,糖負荷試験後にストレッチ運動を30分間実施する条件,座位安静を保持する条件の計3条件を順序無作為に実施した.ストレッチングはパートナーによる受動的な静的ストレッチングとし,大筋群を対象とした12種目を実施した.血糖値の測定を摂取前,摂取後30,60,90および120分に,酸化ストレス度(d-ROMs),抗酸化力(BAP)の測定を摂取前,摂取後30,60および120分に実施した.その結果,血糖値は糖負荷後60分時点において安静条件と比較していずれのストレッチ条件においても有意に低値を示した.そのほかの時点の血糖値は各条件間で有意な差がなかった.血糖上昇曲線下面積は安静条件と比較して糖負荷後のストレッチ条件で有意に低値を示した.d-ROMsおよびBAPは,すべての条件において糖負荷試験の時間経過に伴う変化に有意な差がなく,さらに,各条件間においても有意な差がなかった.これらの結果から,ストレッチングは酸化ストレスを上昇させることなく,糖負荷後の血糖値上昇を抑制することが示唆された.また,食後および食前のタイミングで実施するストレッチングは,食後の血糖値管理のための運動として有効であるものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ストレッチングが酸化ストレスを上昇させることなく,血糖値上昇抑制作用があること,食前および食後のタイミングで行うストレッチングには食後の血糖値管理のために有用であることを明らかにすることができ、研究計画はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
食後のストレッチング運動の実用化に向けて,短時間の座位によるストレッチングが血糖値を降下させる作用があるかどうか調べるとともに,食後のストレッチングが吐気や疲労感をもたらすかどうか検討する.また,継続的なストレッチングが血管機能に与える効果について検証するとともに,血圧や交感神経活動に及ぼす影響についても検討する.最終年度に向けて研究計画を着実に推進することで,ストレッチングがもたらす糖尿病と動脈硬化症予防の効果の解明を目指す.
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Causes of Carryover |
当初の計画から旅費および消耗品費を抑えることができ,次年度使用額が生じることになった.未使用額は次年度に行う実験の試薬および消耗品の購入に充てる計画になっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主な使用計画に血液分析用の試薬,生体電極,グルコース溶液等の消耗品費,および被験者謝金を計上している.旅費として学会における成果発表費用を計上している.
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Research Products
(1 results)