2018 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアの予防をめざす:加齢による筋タイプⅡ線維の萎縮防止の分子機構の解明
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15K01735
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
山路 純子 (田代純子) 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 准教授 (40340559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 彩子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20298772)
廣島 玲子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40404777)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミオシン重鎖アイソフォーム / サルコペニア / 骨格筋 / 筋萎縮 / 分子生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では加齢性骨格筋萎縮(サルコペニア)の予防や回復に有効な機能性因子の探索を目的としている。骨格筋萎縮には、筋の不動(寝たきり、ギプス固定、無重力等)による廃用性筋萎縮症候群と加齢により骨格筋が萎縮するサルコペニアに分けられる。両者の特徴は特に骨格筋の萎縮が顕著に見られる筋タイプであり、廃用性筋萎縮症候群においては姿勢保持や持久力に関与する遅筋(タイプI線維)が、サルコペニアにおいては瞬発力に関わる速筋(タイプII線維)といわれる。骨格筋の速筋や遅筋などの性質や量を決定づけるのは、収縮の性質が異なる構成線維のミオシン重鎖アイソフォームであり、筋組成は遅筋のタイプI線維(ミオシン重鎖クラスI)と、速筋のタイプII線維(ミオシン重鎖クラスⅡアイソフォーム)に分けられる。ミオシン重鎖の発現調節の解析を通じ、サルコペニアの予防や回復に有効な機能性因子を探索した。 平成30年度においては、ミオシン重鎖のアイソフォームの決定に関わる因子(外部投与、骨格筋由来)と天然由来機能因子(植物性テルペン類など)との関連について分子生物学的解析を進めた。 実験材料には骨格筋芽細胞C2C12細胞や実験動物としてマウスを使用した。骨格筋由来因子やミオシン重鎖アイソフォームのmRNA発現の解析には、定量PCR法を用いて解析した。 これらの結果、(1)ミオシン重鎖アイソフォームの中には、発現調節にPKAシグナルによる調節の影響を受ける種類と受けない種類の存在が示唆されること、(2)一部の骨格筋由来インターロイキンの発現にはPKAシグナルの影響が見られなかったこと、また(3)一部のインターロイキンシグナルを介した場合のミオシン重鎖アイソフォームの発現機序に対し、PKAシグナルによる調節の影響がみられなかったこと、が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度の研究計画において、骨格筋由来因子(インターロイキン等)やミオシン重鎖アイソフォーム等の発現解析に追加解析の必要な因子(PKA等)に対する実験計画の変更が生じたことや、解析に用いる機器修理の必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進策として、骨格筋由来因子(インターロイキン等)やミオシン重鎖の発現機序において、追加解析の必要な因子に対する、薬剤(アゴニストや阻害剤等)や天然由来機能因子を用いた実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の834,177円(研究代表者、研究分担者を含む)については、平成31年度の研究計画(推進方策欄)に使用を予定しており、骨格筋由来因子やミオシン重鎖アイソフォームの発現機序において、追加解析の必要な因子に対する、薬剤や天然由来機能因子を用いた実験を実施する計画である。 内訳は、物品費として634,177円(細胞生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に180,000円、分子生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に284,177円、実験動物やその研究関連消耗品等に170,000円)、旅費100,000円、研究成果発表費用100,000円を予定している。
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Research Products
(3 results)