2015 Fiscal Year Research-status Report
子育て期の社会的ネットワーク拡充再構築のための「社会的代理人」の活用に関する検討
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15K01787
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
西村 太志 広島国際大学, 心理学部, 講師 (30368823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 敏彦 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (60412467)
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309)
長沼 貴美 創価大学, 看護学部, 教授 (80432714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的代理人行動 / シャイネス / 夫婦関係満足度 / 関係流動性 / 社会的ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
従来,よりよい子育てには多様なサポート・ネットワークを持つことが重要であると指摘されている。しかし,現実的には妊娠から出産にかけて多くの養育者はそのようなネットワークを失ってしまう。養育者が多様なネットワークを再構築し育児にとってよりよい環境の構築を行う時系列的変化について,これまでの研究では明らかされてこなかった。 本研究では,養育者の周囲の様々な他者を,養育者の対人資源を拡げる「社会的代理人」と仮定し,子育て期の社会的代理人の特徴と機能を検討することを目的とした。 今年度は,子育てに関する「社会的代理人」の特徴と機能を検討するために,就学前児童を持つ全国の母親(600人)を対象にweb調査を実施し,データ分析を行った。その結果(1)社会的代理人として,「配偶者」「配偶者以外の家族」「友人」「子ども」という4つの対象を検討し,それぞれの対象を社会的代理人として利用する/利用しない割合や,その理由の確認した。(2)自分の配偶者,友人,家族,子どもを「社会的代理人」として利用するか否かについて,その規定要因の検討を行った。説明変数として,回答者の自尊感情,シャイネス,愛着スタイル,関係流動性,夫婦関係満足度,平等的性役割観を設定した。低いシャイネス,愛着の関係不安の高さ,夫婦関係満足度の高さ,平等的性役割観は,配偶者を社会的代理人として利用することを規定する要因だった。家族については低いシャイネスのみが有意に規定した。子どもについてはこれらの変数の有意な効果は認められなかった。友人は,シャイネスの低さ,夫婦関係満足度の高さ,子どもの数,母親の年齢,高関係流動性,愛着の関係不安の高さが,社会的代理人として利用することを促進する要因であった。 上記の結果に関連する過去のデータの分析や発表,および来年度以降に発表する成果のとりまとめを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度には,横断的調査を実施し,子育て期の母親の社会的代理人の利用について,その特徴の把握を行うことができた。 2016年度以降は,この結果を基に,縦断的調査を実施すべく現在準備を進めている。 また,2015年度に得られたデータに基づく成果は,2016年度に開催される複数の国際学会(シンポジウム含む),および国内学会で発表予定(採択済み含む)であり,論文としてもまとめる予定である。 以上のことから,研究実施および成果発信ともに概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に示したとおり,2016年度から3年間の予定で妊娠期から出産後の縦断調査を行う予定である。この調査を実施することで,社会的代理人の利用の特徴についてその時系列的変化から検証することが可能となる。 また,いくつかのフィールド(子育て支援団体など)ともコンタクトをとることができ,本研究に関連する成果発信や共同研究についての方向性の基盤を2015年度に構築した。2016年度以降は,この成果を基盤としてより詳細な検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度,オンライン調査の実施において,調査内容の充実のため当初予定より調査委託費の上昇が生じた。また,国際学会(SPSP2016,アメリカサンディエゴ)で研究成果の発表を行うことが年度途中で決定したため,旅費の不足分を補うための前倒し支払い請求を行った。 旅費精算の結果,前倒し請求額全部の支出は不要であったため,繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度からは縦断的調査を予定しており,そのための委託費として次年度使用額を用いる。
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Research Products
(7 results)