2016 Fiscal Year Research-status Report
子育て期の社会的ネットワーク拡充再構築のための「社会的代理人」の活用に関する検討
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15K01787
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
西村 太志 広島国際大学, 心理学部, 准教授 (30368823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 敏彦 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60412467)
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309)
長沼 貴美 創価大学, 看護学部, 教授 (80432714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的代理人 / 妊婦 / 対人ネットワーク / 縦断的調査 / 関係流動性 / シャイネス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究目的に示した養育者の対人ネットワークの再構築過程の検証を行うために、養育者が「社会的代理人」をどのように利用しているかについて、妊娠期の女性を対象とした縦断調査の初回を実施した。当初計画より、縦断調査における歩留まり率を考慮し、範囲を拡大して調査を行った。調査会社の登録モニターを対象として、妊娠16週~40週の女性805名から有効回答を得るオンライン調査を実施した。初回データの分析は、今後詳細に行っていく必要があるが、妊娠期のサポートネットワークサイズの実態や、社会的代理人の選択状況について有益なデータを得ることができた。平成29年度は、これらの対象者に第二回調査を行う予定である(概ね初回調査から1年弱の時期)。 加えて、平成27年度に得た横断的調査によって得られたデータを基に、社会的代理人の特徴を詳細に検討する分析を行い、学会発表や論文の形で公表をした。特に複数の国際学会での発表を行い、比較文化的な視座からのコメントを得ることもできた。本研究課題では、日本国内の対象者への調査に基づく知見となっているが、今後この点については検討が必要な課題である。 養育者の対人ネットワークの構築において、「社会的代理人」が機能する条件や特性、社会的代理人として選択しやすい他者の属性の検証など、本研究課題の目的に概ね即した検討ができている。特に、養育者の周囲の対人関係の流動性(関係流動性、居住流動性)が一定の影響を及ぼすことが示されつつある。このことは、今後子育て期の人々の対人関係の構築に対する支援や介入にも有効な示唆を与える結果になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断的調査の初回を実施することができ、今後2回の調査の準備もすすめている。また、学会発表や論文の形でも刊行されたもの、およびこれからの予定のものが複数あり、成果の公表をすすめている。 なお、実際の子育て場面でのフィールド調査については、現在研究課題メンバー内でその実施方策の再検討を行っている。近年のオンライン環境の整備や、子育てに特化したSNSなどオンラインネットワーク上でのコミュニティの構築の容易性も考慮し、自由記述データを含むオンライン調査を別途実施することも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、研究計画書に記したスケジュールでの調査実施の目処がついたため、そのスケジュールに即して調査を行い、データの解析を進める。また、上述したが、フィールド調査については、その方法や対象について再検討を行っている。近年のオンライン環境の整備や、子育てに特化したSNSなどオンラインネットワーク上でのコミュニティの構築の容易性も考慮し、自由記述データを含むオンライン調査を別途実施することも検討している。また、地域コミュニティで活動している支援者を対象とした調査など、別の観点からのアプローチも検討中である。しかしながら、これらの調査は本研究課題の成果をより多面的にとらえることにつながるものであり、著しい研究計画の変更とはならない予定である。
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Causes of Carryover |
年度途中に、外部委託調査のために前倒し請求を行ったが、最終的な確定金額が前倒し請求額には達しなかったため。また、実施予定であったフィールド調査は実施検討中であり、その実行のための予算を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
縦断的調査の第二回の調査委託費の確定に伴い、当該予算を執行する。 また、フィールド調査に対応する別調査の実施のための準備を進めるため、予算を執行する。 また、研究成果公表のため、海外開催の学会での発表予定をしており、そのための旅費としても執行する。
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Research Products
(11 results)