2015 Fiscal Year Research-status Report
抗菌活性を示すピペラジン酸含有環状ペプチド類の全合成と構造活性相関研究
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15K01796
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 将人 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80511906)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 全合成 / 環状ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はピペリダマイシンFの全合成に向けて,オリゴピペラジン酸骨格構築における収率の向上と大員環形成反応について検討した.これまでの検討において,大員環形成時に望むマクロラクトン体だけではなく,分離困難な化合物が副生していた.改めて反応生成物を精査した結果,副生成物として4員環を形成したβーラクトンが生成していることが分かった.そこで,大員環形成時における収率向上を目的に,C末端のαーメチルセリンの1級水酸基を予め保護した上でマクロラクトン化反応を行うことにした.はじめに1級水酸基が保護されたアミノ酸の調製を行い,従来の合成法を改良することで短工程で目的とするαーメチルセリン誘導体を得ることに成功した.続いて,環化前駆体の調製における反応条件を精査し,添加する塩基の当量を調製することで収率良くオリゴピペラジン酸骨格を構築できることが明らかとなった.両末端に1残基ずつ伸長することで6残基ペプチドとした後に,両末端の脱保護を経て環化前駆体へと導いた.この際,αーメチルセリンの1級水酸基の脱保護も懸念されたが,反応条件を精査することで,優先的に望む両末端のみの脱保護を行うことができることが分かった.得られた環化前駆体に対しマクロラクトン化を試みた結果,所望のマクロラクトン体を良好な収率で得ることに成功した.今後,得られたマクロラクトン体について脱保護を検討することで,目的とするピペリダマイシンFへ導く予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸案であったβーラクトンの形成を抑制することができ,目的のマクロラクトン体を収率良く得る反応条件の確立を達成することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終工程の脱保護を検討し,天然物へ導く.確立した合成法を基に誘導体合成を展開し,活性評価を行うことで構造活性相関に関する知見を得る.
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