2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01836
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 暢哉 関西学院大学, 文学部, 教授 (70465269)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳梁膨大後皮質 / ナビゲーション / 空間認知 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ナビゲーション課題を行っているラットの脳梁膨大後皮質のニューロン活動を記録・ 解析することによって,上記の逆説的な現象の詳細を明らかにすることである.このことを通して,我々動物が生きていくことに本質的だと言えるナビゲーション行動の神経メカニズムの解明を目指す. 本年度は,格子迷路を用いて,脳梁膨大後皮質の空間学習における特性について検討した.15匹のラットのうち,9匹に興奮性神経毒性を有した薬物を局所注入し,脳梁膨大後皮質の破壊を行なった.残り6匹のラットは統制群とした.実験は2つのフェーズから形成されており,第1フェーズでは,ラットにあらかじめ決められたルートを走行することを学習させた.ラットは,格子迷路内のスタートボックスからゴールボックスまで走行することを1日5試行行なった.このルート走行課題を,2日間の10試行中8試行を連続してエラーなしで走行することを学習基準とした.第2フェーズは,1日6試行からなり,最初の試行は第1フェーズと同じ迷路内のルートを走行させた.残り5試行では,既存のルートに加えて,迷路内の一部の壁を取り除くことによって,新たな迂回路が設定された.第1フェーズでは,脳梁膨大後皮質破壊群と統制群の間に,学習基準到達までの日数に違いはなかった.第2フェーズでは,新たに設定された迂回路,つまり学習したルート以外の逸脱したルートを取るラットが見受けられた.このルート逸脱は,脳梁膨大後皮質破壊群の方が,統制群よりも多い傾向が認められた.つまり,学習したルートに直接関わるわけではない環境の変化が,脳梁膨大後皮質を破壊されたラットのルート走行に影響したといえる.このことは,脳梁膨大後皮質が学習したルートの自動的な走行に関与する可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の引越しが行なわれたために,装置や機器のセットアップに時間を要している.年度末に引越し先の工事と荷物の搬入が概ね終了したため,これから順次セットアップを進めていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ニューロン活動記録のための機器のセットアップを進め,ナビゲーション課題遂行時のラットの脳梁膨大後皮質のニューロン活動の記録・解析を行う.特定ルートを覚えさせる順行課題で,通常ルートを最短でゴールボックスまで到達できるように学習させた後に,ルート途中の仕切りを取り除き,近道テストを遂行している際の脳梁膨大後皮質のニューロン活動を記録する.記録したニューロン活動は,迷路内の動物の位置,および その前後での行動(前進・右折・左折など)に注目して解析する.また,順行課題を学習させる時点からニューロン活動の記録を開始し,迷路内のルートを最初から学習するプロセスについても検討する.さらに,学習後に近道可能な状況とし,形成されたルートの記憶表象が動的に変化するプロセスについて検討する.このことによって,ルート途中の仕切りを除去することで生じる環境の変化が,どのような形で脳梁膨大後皮質のニューロン活動として脳内に表現されているのかを明らかにすることができると考えている.時間的に余裕がある場合は,近道に加えて,遠回りをしなければならない状況を作り出し,そのような迷路の構造の変化が,脳梁膨大後皮質ニューロンの活動に与える影響について検討する.得られた結果を,近道状況と比較し,遠回り状況と近道状況というルートの変化を求められる場合に,脳梁膨大後皮質ニューロンがどのように応答するのかについて明らかにする.
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Causes of Carryover |
研究実施に関わる資材を購入予定だったが,研究の進捗状況から次年度に必要になると判断したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に,実験装置作成のための資材(アクリル板やセンサーなど)の購入に使用する予定である.
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[Presentation] Outcome monitoring and behavioral adjustment by putative pyramidal neurons and interneurons in the primate anterior cingulate cortex during a reversal learning task.2015
Author(s)
KAWAI, T., YAMADA, H., SATO, N., TAKADA, M., & MATSUMOTO, M.
Organizer
Neuroscience 2015, 45th annual meeting of Society for Neuroscience
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
2015-10-17 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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