2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01836
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 暢哉 関西学院大学, 文学部, 教授 (70465269)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナビゲーション / 空間認知 / 脳梁膨大後皮質 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ナビゲーション課題を行っているラットの脳梁膨大後皮質のニューロン活動を記録・ 解析することによって,上記の逆説的な現象の詳細を明らかにすることである.このことを通して,我々動物が生きていくことに本質的だと言えるナビゲーション行動の神経メカニズムの解明を目指す. 本年度は,格子状迷路を用いて,特定ルートを潜在的に学習することの社会的相互作用の影響を検討した.24匹のラットに対して格子状迷路内の特定ルートを通ってスタート地点からゴール地点まで到達するナビゲーション課題を課した.24匹のラットを統制群,single群,pair群にそれぞれ8匹ずつ割り当て,ナビゲーション課題の実施前に,格子状迷路内を3日間,single群は1匹で,pair群は2匹で10分間自由に探索させた.統制群のラットはその間迷路には接しなかった.その後のナビゲーション課題の結果,課題の初期において,ゴールまでに到達する時間が最も速かった.また,その到達時間の減少も最も速かった.つまり,pair群が最も速くルートを学習した.single群と統制群には違いが認められなかった.このことから,迷路内をペアで探索することによって,迷路の空間的構造の潜在学習が促進されることが示唆された.single群でも潜在学習の効果が認められなかったが,迷路の探索期間(潜在学習期間)を3日間に設定したため,十分に迷路の構造を学習できなかった可能性が考えられる.このため,現在は,潜在学習期間を延ばした実験を実施しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニューロン活動記録のための装置の製作に多少の時間を要したため,ニューロン活動の記録にいまだ取りかかれていない.記録デバイスについては目処がついたため,今後速やかに記録を開始する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用している迷路に不具合が認められたため,現在迷路のリニューアルを予定している.それが終了次第,ナビゲーション課題遂行時のラットの脳梁膨大後皮質のニューロン活動の記録を開始する. 迷路内の特定ルートをラットが学習している際の脳梁膨大後皮質のニューロン活動の記録を実施し,迷路内のルートを学習するプロセスについて検討する.記録したニューロン活動は,迷路内の動物の位置,およびその前後での行動(前進・右折・左折など)に注目して解析する.これによってルートの記憶表象がどのように脳梁膨大後皮質のニューロン活動として脳内に表現されているのかについて明らかにすることができると考えている. さらに,ルートの学習後に,ルート途中の仕切りの一部を取り除き近道可能な状況とし,近道テストを遂行している際のニューロン活動を記録する.これによって,形成されたルートの記憶表象が動的に変化するプロセスについて検討したいと考えている.
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Causes of Carryover |
ラットの手術を行う予定であったが,研究の進捗状況から,次年度に実施することにしたために,使用予定であった薬剤などの購入を見送ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に手術を実施する際に必要となる薬剤などの購入に使用する予定である.
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Research Products
(11 results)