2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01911
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 文香 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10367667)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 軍事的男性性 / ジェンダー / 自衛隊 / 軍事組織 / 戦後日本社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度/令和元年度は、これまで聞きとり調査を続けてきた現職・退職男性自衛官調査の結果を分析しつつ、補足的な追加調査を行った。彼らの経験を、特に、時代・世代と地域の差異に注目しつつ把握することに努めた。分析に際しては、自衛隊を抱える地域社会との関係性に着目し、男性自衛官たちが地域社会のなかで地元住民とどのような交流をもち、そのことが彼らの職業意識やアイデンティティ構築にどのようにかかわっているのかを明らかにした。 あわせて、文献研究として、これまでに収集してきた公式文献や記念誌等の基礎資料、および、先行研究の読解を続けた。聞きとり調査の結果については、英語圏において蓄積されてきた「軍事的男性性」概念を用いた先行研究と接続させつつ、ジェンダーの視座から彼らの経験を分析・考察し、研究の総括を行った。残念ながら3月に予定していた国際会議(International Studies Association) の年次大会が中止になってしまい、そこでの報告はかなわなかったが、共著の英語論文“The "Benevolent" Japan Self-Defense Forces and Their Utilization of Women”が刊行された。さらに、世界思想社の『世界思想』に「女性兵士は男女平等の象徴か?」を出したほか、朝日新聞社・読売新聞社・毎日新聞社・中日/東京新聞社やウェブメディアの取材を通じて、広く研究成果を一般社会にフィードバックすることにも努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、文献研究とインタビュー調査を用いたアプローチをおこなうものであり、当初計画どおりに遂行された。ただし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い3月の国際学会が中止となったため、研究成果報告の予定を一部次年度に繰り越す必要があり、補助期間の延長を申請した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には、国際学会(International Studies Association(ISA)を予定)をはじめ、これまでの研究成果を国内外の学会にて報告する。また、岩波書店より刊行予定のシリーズ『戦争と社会』、勁草書房より刊行予定の『男性学基本論文集』の執筆・編集作業をすすめ、オファーを受けている新書をはじめ、一般紙や解説・総説、講演等を通じて、研究成果を広く紹介することに努める。
|
Causes of Carryover |
令和2年3月25日より米国、ハワイにて開催される国際学会(International Studies Association)に出席する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、学会が開催中止となった。この出張とりやめに伴い補助期間の延長申請を行い、本研究の成果発信のため、令和2年度の国際学会で報告を行うことに充当する計画である。
|
Research Products
(7 results)