2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K01925
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
千田 有紀 武蔵大学, 社会学部, 教授 (70323730)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 母性 / 父性 / エコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エコロジーとフェミニズムの関係を問い直し、理論的に深化させることを目的としている。その際に、「子ども」の未来への責任、また「母親として」の責任という言葉などに着目し、「母性」について考察を深めること目的の一つとしている。 今年度は、皇室表象における「母」はどのようなものかについても考察を行った。また離婚後の親子のありかたに着目し、その際に「母性」や「父性」、「母親としての責任」「父親としての責任」などがどのように語られているのかについて考察した。具体的には、フランスの映画『ジュリアン』をテキストとして読解し、そこにおける様々な諸概念の配置について考察した。ヨーロッパと日米は異なっていると考えられがちであるが、この点においては大きな違いは見られないことがあきらかになった。 また、日本の国内研究では、日本のウーマンリブがどのように「母性」について語ってきたのかについて、分析を行ってきた。その一部は、ウーマンリブを率いた田中美津と、上岡陽江との鼎談などで発表された。日米における母性の比較のみならず、今日的な社会問題(虐待問題)において、母性がどう語られてきているのかについて考察することは、研究のさらなる深化に結びつくと思われる。今後は、田中美津に対する聞き取り調査を行い、「ウーマンリブと母性」についての新しい考察につなげることになった。 さらに、福島からの自主避難者の聞き取りを続行し、どのように避難を決定し、母性をどのようにとらえているのかについてのデータ収集を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、これまで調査分析してきたデータをまとめて、最終年度の2020年への下準備をすべて終わらせておく予定であったが、アメリカでの調査が難航しており、進められていない。日本での調査や研究部分はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、福島からの避難者のインタビューをまとめ、報告書の作成に向けて鋭意努力する予定である。また、ウーマンリブの中心的人物、田中美津のインタビューを続行することにより、新しいデータを収集し、分析に努める予定である。 何よりも、アメリカでの調査を再開し、まとめることが重要である。
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Causes of Carryover |
アメリカ調査の実施が進行していないため、来年度の実施予定とした。
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Research Products
(4 results)