2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sexuality and Nationalization: Politics of Discourse surrounding Female Genital Mutilation in Malaysia
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15K01936
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
井口 由布 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80412815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー / 「女性器切除」 / 女性の身体 / セクシュアリティ / マレーシア / 医学 / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マレーシアにおける女性器切除(Female Genital Mutilation, FGM)についての現状を調査することにより、FGMをセクシュアリティと身体の支配に関する現代的な問題としてとらえ直し、マレーシアにおける国民的な主体形成の中に位置づけることを目的としてきた。最終年度である2018年度はこれまでの現地における調査のまとめと成果報告、「女性器切除」と女性の身体やセクシュアリティの問題をとおして多方面の研究者とのネットワーク作りの強化にあてた。 代表者は、2016年度と17年度に行った北部農村地帯における女性たちへの量的調査、伝統的な施術者(産婆)へのインタビュー、農村の男女のフォーカス・グループ・ディスカッションを海外共同研究者であるRCSI&UCDマレーシアキャンパスのアブドゥル・ラシド教授とともに行ってきた。2018年10月にはラシド教授とともに東京と大阪においてそれぞれ口頭発表を行った。また、12月には国際学会においてパネルを企画しかつ報告を行った。さらにラシド教授と共著論文を合計4本執筆し投稿した。そのうち量的な分析に重きをおいた"Female Genital Cutting in Malaysia: A Mixed Method Study" がBMJ Openにすでに出版された。また、「女性器切除」問題を理論面から探求した共著論文「「女性器切除」と言説の政治:近代医学的まなざしの自明性を問い直す」も『年報カルチュラル・スタディーズ』に掲載が決定した。 ラシド教授との共同での研究報告や国際学会でのパネル報告をとおして、アフリカにおける「女性器切除」問題を研究する人類学や政治学の研究者や、東南アジアの他の地域や歴史、宗教を専門とする研究者との交流を持つことができ、東南アジアとアフリカにおける比較研究への道が拓けた。
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