2017 Fiscal Year Annual Research Report
An interdisciplinary study of human agency: taking vulnerability and interdependency seriously
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15K02010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 正祐 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任准教授 (60587765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 聖一 立正大学, 文学部, 准教授 (00503864)
古田 徹也 専修大学, 文学部, 准教授 (00710394)
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
八重樫 徹 広島工業大学, 工学部, 准教授 (20748884)
木村 正人 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (80409599)
川瀬 和也 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (90738022)
池田 喬 明治大学, 文学部, 専任准教授 (70588839)
筒井 晴香 玉川大学, 教育学部, 非常勤講師 (90760489)
萬屋 博喜 広島工業大学, 環境学部, 助教 (00726664)
島村 修平 日本大学, 理工学部, 助教 (90801655)
鈴木 雄大 国際武道大学, 体育学部, 助教 (20794928)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脆弱性 / 依存性 / 責任 / 関係的な自律 / フッサール / レヴィナス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活かしつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。研究代表者と研究分担者は主として以下のような研究を行った。
(1)1990年代以降のケアの倫理の代表的論者たちが、「人間は脆弱性や依存性を不可避に抱える」という事実に基づき、どのようにケアをめぐる責任に関する議論を展開しているのかを検討した。そうした検討を通して、他者応答的な行為者概念を提示した。(2)フェミニスト倫理学における関係的な自律論について批判的に検討し、自己統御の概念を責任概念と結びつけることで、伝統的な自己統御概念とは異なる関係的な自己統御の概念の提示を試みた。(3)「性」の表明や「男/女らしさ」の問題に関して、自己物語、自由意志、自律性、情動に関する哲学的議論を参照しつつ考えた。その際、日本におけるトランスジェンダーの医療化をめぐる状況も考察した。(4)フッサール、レヴィナス、ハイデガー等を参照しつつ、共感や共苦といった事象を、傷つきやすさの観点から考察し、その倫理的含意を明らかにした。(5)現代英語圏における道徳的運の議論を検討し、ままならない人生における運と道徳性の関係性について批判的に考察した。
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Research Products
(15 results)